本研究では、視聴覚体感環境を利用して個々人の地震時イマジネーション力をつけることを目的する。我が国は、切迫する巨大地震を前に、社会の高機能・高密度化や人口の減少・偏在、少高齢化により、災害耐力や被災後の回復力を著しく減退させている。巨大災害による我が国社会の破綻を回避するには、災害前の個々人の備えを抜本的に進め、被害を劇的に減少させるしかない。政府や自治体は、地震防災戦略や災害被害を軽減する国民運動を推進してきたが、耐震化や家具固定などの進捗は芳しくない。その最大の原因は、国民一人一人の我が事感の欠如にある。そこで、本研究では、地震対策を我が事としてイメージできる地震時再現環境を構築し、個々人が、地震への備えをすることが当たり前と感じるような社会を作りあげていく環境を提供する。 H24年度は以下の研究を実施した。 H23年度から継続して、各種災害情報関連データのデータベース化を行った。また、下記の示す動作をするシステムを構築した。 ①GoogleMap を利用したWebGIS 上で地点を選択し、その周辺の3 次元地形データ等を生成した。②土地の地形・ハザードを閲覧しつつ、地震時の地盤―建物群の揺れを立体視する。合わせて、注目する建物を指定した。③選択された建物の当該床位置の揺れを予測し、ディスプレイ上で、目の前の室内映像が当該の揺れで前後左右上下に揺れる様子を立体視する環境を整えた。④床の揺れに応じた、地震時の音を生成して音環境を生成した。 ⑤ディスプレイ上の映像の中に、仮想の家具を重ね表示し、家具の転倒状況を立体視表示した。構築したシステムは、防災イベント等で、体感効果についての調査を行い、効果測定を行い、そして必要に応じてシステムへのフィードバックを行った。
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