研究課題/領域番号 |
23656346
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉野 博 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30092373)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 室内温熱環境 / パッシブ冷房 / 潜熱蓄熱体 / 壁体内通気 / 性能評価 |
研究概要 |
本研究は、平成23年度から25年度までの3年間の継続である。1年目である本年度の実績は以下の通りである。 1.東南アジアの蒸暑地域の住宅を対象とした気候風土、室内温熱環境、エネルギー消費量の現状調査 2011年12月に、東南アジアの蒸暑地域に属するベトナムとマレーシアを訪問し、関連研究機関での情報収集や実在住宅の視察を行った。さらに、様式の異なるマレーシアの住宅6件を対象に長期的な実測調査を実施し、室内温熱環境、エネルギー消費量のデータ整理・分析を行った。その結果、住宅全体の約40%を占める新様式の住宅において、室内の温度・湿度が高く、それを解消するためにエアコンの設定温度が低く設定されており、エネルギー消費量が大きくなっているという実態が明らかとなった。そこで、新様式の住宅(terrace house)を対象として、居住者へのヒアリングを含めた詳細調査を行い、気流を加えることにより居住者の温熱快適感が向上することが確認された。 2.パッシブ冷房壁体に適用するためのPCM入り銅フォームの開発 蒸暑地域における住宅のパッシブクーリング手法として提案するPCMと夜間換気を組み合わせた除湿冷房システムの要となるPCM入り銅フォームについて検討した。その検討結果を受け、チャンバー実験用として、融点28℃のPCMと潜熱蓄熱体の天然ゼオライトを封入し、PCMの充填率、天然ゼオライトの有無を組み合わせた異なる種類の銅フォームパネルを製作した。 3.実験によるパッシブ冷房壁体の性能検証 性能検証実験の計画を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に実施する予定であった、1)東南アジアの蒸暑地域の住宅を対象とした現状調査、2)パッシブ冷房壁体に適用するためのPCM入り銅フォームの開発がおおむね順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
1.実験によるパッシブ冷房壁体の性能検証 小型実験チャンバーを用いて、平成23年度に製作した PCM入り銅フォームパネルの性能実験を行い、最適な条件の銅フォームパネルを選定する。選定した銅フォームパネルを本パッシブ冷房壁体の部分模型に組み込み、蒸暑地域の外気と室内空気の温湿度条件を再現可能な東北大学構内の人工気象室に設置し、日中の室内空気の除湿冷房性能、夜間換気によるPCMの蓄冷効果の実験による検証を行う。 2.数値解析によるパッシブ冷房壁体の性能検証 数値解析による検証を行うため、数値解析モデルの構築を行う。構築した数値解析モデルを用いて、平成24年度に実施した検証実験と同じ条件下での数値解析を行い、数値解析モデルの精度について検証する。その後、平成23年度に実施した現状調査および今後実施する予定の検証実験の結果を踏まえ、アジアの蒸暑地域の様々な地域における本システムの適用可能性について、建物の断熱性能を変更した場合も含めて数値解析により検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行のために使用する予定である。
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