研究課題/領域番号 |
23656353
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森 傑 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80333631)
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研究分担者 |
安藤 孝敏 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (00202789)
小松 尚 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80242840)
岩佐 明彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90323956)
木多 道宏 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90252593)
松原 茂樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10399248)
石垣 文 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60508349)
舟橋 國男 大阪大学, ─, 名誉教授 (50029203)
野村 理恵 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20599104)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 建築社会研究 / 社会問題 / プラットフォーム / 公共性 / 制度 / 日常生活 |
研究概要 |
社会的弱者の生活環境整備の遅延、欠陥建築物の乱立、公共建築の発注-受注システムの不備、建築教育体系の改変など、今日、建築に関する重大な社会問題が数多く生じているにも拘わらず、それらについての研究活動は個別・部分的であり、問題解決への寄与として十分な関与の深さを有していない。そのような現状を打開するには、建築学における計画系の諸研究・諸研究者が緊密に連携し、かつ課題に関連する社会学等の関連分野とも協働する基盤、計画系研究プラットフォームが必要である。そこで本研究は、以下の3課題を設定し、平成23年度は課題(1)を中心に取り組んだ。(1) 建築学内外の論文等の収集・整理、各分野の専門家へのヒアリングを行い、国内外の建築の社会問題に関する既往研究について総合的に評価・分析し、今後の動向を体系的に整理する。(2) 建築行為における意志決定側面および建築行為のもたらす社会的影響の視点から、問題提示的な事例について、社会学者らとの協働のもと共同研究としてケーススタディに取り組み、建築に関わる社会問題の解決へ向けての研究アプローチの戦略と課題を検討する。(3) (2)による計画系研究・研究者の横断的な連携の意義と成果に関する実地検証を踏まえ、多領域の研究者の学術的な情報交換や議論を促す場として、研究ポータルサイトArchitecture-Society Studiesを構築する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、申請メンバーらのこれまでのMERAにおける研究活動を通して、学際的(Cross-disciplinary)視野における既存分野の理論・方法論に関する相互理解が重要であることが確認されたことを踏まえ、建築計画学・都市計画学・環境行動学・社会心理学・都市社会学・環境社会学の分野を中心に、学術論文等の収集・整理、各分野の専門家へのヒアリングを行い、研究成果の再評価を行った。 また、建築に関する社会問題の多くは、各種関連法制とその体系の基本的欠陥や不備あるいは抜け道等々が、社会的・経済的な様々な背景の中である種の歪みとして現れている結果といえる。それらの問題は、建築に対して社会が期待している公共性の意味や価値と密接に関係している。そして、それら法制と公共性の問題は、学校や庁舎などといった公共事業・整備の事例のみならず、住宅を中心とした日常環境レベルにおいて、非常に複雑なかたちで人々の生活に影響を及ぼしている。よって本研究は、これら「制度」「公共性」「日常生活」に注目し、特に建築行為における意志決定側面および建築行為のもたらす社会的影響の視点から、次年度に詳細調査を行うケーススタディ事例の基礎調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、課題(2)および課題(3)に取り組む。(2) 建築行為における意志決定側面および建築行為のもたらす社会的影響の視点から、問題提示的な事例について、社会学者らとの協働のもと共同研究としてケーススタディに取り組み、建築に関わる社会問題の解決へ向けての研究アプローチの戦略と課題を検討する。(3) (2)による計画系研究・研究者の横断的な連携の意義と成果に関する実地検証を踏まえ、多領域の研究者の学術的な情報交換や議論を促す場として、研究ポータルサイトArchitecture-Society Studiesを構築する。 課題(2)のケーススタディは、1) 都市・地方それぞれに今日的な社会問題に注目し、具体的な構造を把握した後、2) 当該課題について他方における類似の諸現象を新たに調査、3) 都市・地方の相対化を通じて社会問題の本質を深く考察する、という戦略で取り組む。 課題(3)は、学際的視野での建築に関する社会問題の解決へ寄与する計画系研究プラットフォームとして、多領域の研究者の学術的な情報交換や議論を促す場として、双方向型のコミュニケーション・ネットワークの構築を目指す。具体的なコンテンツとしては、本研究の進捗を随時発信するTwitter、Face bookを活用したタイムリーな情報の共有、学術機関リポジトリと連携した関連既往研究のデータベース化、速報性の高い研究ノートの掲載などを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究はその計画の性質上、主たる研究経費はフィールド調査に充てられる。都市と地方のケーススタディに対して、都市WG(5名)と地方WG(4名)に担当を分けて共同研究に取り組むため、調査対象地への国内旅費が必要である。その際、申請メンバーの所属・活動拠点に合わせてWGの担当を決定している。 本研究は、建築計画学分野の研究者が中心となって取り組むものであるが、研究テーマの特性上、社会学・心理学等の他の分野の研究者の協力を得ての研究活動を行っている。その協力環境の都合により、平成23年度に一部未使用額が発生した。しかしながら、平成24年度において実施するフィールド調査の特徴(立地や規模)に照らし合わせたときに、次年度へ繰り越すことで、上記の協力体制による合理的・効果的な研究が実施できると判断している。
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