H25年度は最終年度であるが、雨水流出測定器の観測を継続した。結果的に、計測は最後まで流量計の精度と安定性に悩まされた。研究当初はメカニカル流量計を用いたが、すぐに砂などの混入により計測不能となったため、電磁式流量計に変更したが、人工降雨実験のように定常的な流れを作る場合は計測可能であったが、自然降雨の場合、非定常で非満水の状況が発生するため、計測の安定性と信頼性に欠け、実験結果が思わしくなかった。流量計を並列に使用したり、直列に使用したり、工夫をしたものの、残念ながら、今回の実験装置の信頼性は、自然降雨に対しては低いものにならざるを得なかった。したがって、自然降雨についてのデータは多々収録したもの、信頼性を持って発表できるに足るものが不足している状況である。これについては、今回の科研では、残念ならが満足の行かない結果となった。今後は微小流量で、小石などの混入にも強く、かつ非定常、非満水の測定が可能なセンサーの開発が必要である。 ただし、毎月同一降雨パタンで繰り返した人工降雨実験による草地の雨水浸透能力の経年変化については、ほぼ1年間にわたり、比較的明瞭なデータが蓄積された。この報告は2013年度日本建築学会東海支部研究発表会で発表し、同研究報告書代52号、525-528ページに掲載された。今後もさらに人工降雨実験を継続する予定である。
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