研究課題
ダニエレ・バルバロ著「透視図法の実際」パート1では視点・画面・描かれる対象などの透視図法の構成要素や、平面の分割などの簡単に透視図を描くための手法について(平成23年度)、パート2では平面上の図形を透視図上に描く手法について(平成24年度)書かれている。この2つの章はブルネレスキから150年を経過した出版当時の透視図法に対する認識を示す部分であったが、同時代の類似図版のあるピエロ・デッラ・フランチェスカ著「絵画の遠近法』等と比較し、適切な解説がなされていない部分が多数あることを指摘した。パート4ついては、画像処理ソフトを使い平面的であった舞台背景の作り方に関する図を立体的な画像として表現し、この図を回転させることにより、バルバロの図における不明点を明確にした。また、同時代における奥行きある舞台背景を有する劇場に関するスケッチの収集、分析を行い、必ずしも透視図法に従った厳密なスケッチが描かれていないことを指摘した。また、セバスティアーノ・セルリオ著「建築論」との比較も行い、バルバロの図では舞台前面のレベル差の表現がないことを指摘する他、両者の違いを明確にした(平成24年度)。大きな目的はバルバロの劇場に関する図版の解明であった。ヴィトルヴィオ著、バルバロ翻訳+註「建築十書」(テアトロ・オリンピコを髣髴とさせる図版が挿入)で図版を担当したアンドレア・パッラーディオとの関係から、パッラーディオ設計の建築、当時の劇場の他にローマ時代の劇場について現地調査を3年間実施した。これにより、劇場建築における客席の変化や、舞台と客席のレベル差、水平な舞台に続く勾配のある舞台について確認した。なお、この著書については、パッラーディオとの関連もあるヴィンチェンツォ・スカモッツィのコメントもあり、今回の研究と関連した分析が必要である。
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日本建築学会研究報告九州支部
巻: 計画系 ページ: pp.553-556
日本建築学会2013年度大会(北海道)学術講演梗概集
巻: F-2、建築歴史・意匠 ページ: pp.771-772