日本は火山の国でもあり、花崗岩や凝灰岩は容易に手に入る身近な材料であった。そのため、古墳や城郭の石垣、石蔵や石塀など石を用いた施設が造られた。しかし近年、国内の採石場は閉山が相次ぎ、また熟練の石工も高齢を迎え、手掘り時代の技術の継承は喫緊の課題となっている。さらに木造建築に比べ、石造の研究は大きく遅れているのが現状で、先の東日本大震災では多数の再生可能な石蔵が取り壊された。 そこで日本各地の採石場を訪ね、基礎的な資料の収集を行うとともに、栃木県大谷地域と千葉県鋸山を重点的に扱い、採石技法の調査や石蔵が群をなす地域の調査を行った。
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