研究概要 |
貴ガス(第18族元素:He,Ne,Ar,Kr,Xe,Rn,Uuo)がファンデルワールス力によって結合しているAr(C6H5OH)などの包接化合物やHe(N2)11などの分子性化合物ではなく,貴ガス元素と他の元素が化学的に結合している"真の"貴ガス化合物は,たった約45年前にXeの化合物が世界で初めて合成され,その2年後にKrの化合物が合成された.しかしながら,その他の貴ガス特に比較的軽い貴ガスの化合物に関しては,2000年に,ArについてHArFが極低温下において合成されたばかりで,NeやHeについては,未だ真の化合物は合成されていない.また,貴ガス化合物の金属化については,本年にXe化合物について初めて報告されたが,貴ガス元素と金属元素との合金固溶体や化合物は,理論予測はあるものの,未だかつて合成されていない.このような背景のもと,本研究では,"超高圧超高温"の"高活性な超臨界流体強酸化剤"を用いて,新しい貴ガス化合物の創製を目指した.今年度は,特に,従来の超臨界流体システムで扱われる圧力・温度領域である数百MPa,数百Kの領域を遙かに超える超高圧超高温下での貴ガスの超臨界流体を利用できるLASER-DACと貴ガス常圧低温液化充填装置を組み合わせたシステムの開発を行った.その結果,常圧液体領域が狭いために従来液化充填が困難であったArの常圧低温液化充填に成功し,LASER-DAC・貴ガス常圧低温液化充填装置システムを完成させた.このシステムを用いて,LASER-DAC加熱実験を行い,実際にArの超臨界流体が得られたことをLASER-DACモニターによる顕微その場観察によって確認した.
|