研究課題/領域番号 |
23656386
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
有田 誠 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30284540)
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研究分担者 |
生駒 嘉史 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90315119)
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キーワード | 透明導電膜 / 酸化亜鉛 / 薄膜 |
研究概要 |
2層構造試料の重なり領域の解析により表面電位差のコントラストを確認することができたが、これらには膜厚さ方向の情報が重畳していることが示唆された。そこで劈開が容易なSi単結晶基板上に2層構造薄膜を堆積させ、その断面の直接観察を試みた。この方法によりSi基板/ZnO/ドーピングを施したZnO相においてMg添加に対応したコントラストを確認した。 一方、多層積層構造膜の作製をZnO/AlドープZnO(AZO)を用いて試験的に開始した。それに先立ち、ZnO単層薄膜のドーピング量、成膜条件、ポストアニール条件に対する特性の変化について検証を行った。その結果、比較的高いRF電力と370Cにおけるポストアニールによって薄膜のキャリア密度および移動度が改善されることが分かった。ZnO/AZO多層構造では、それぞれの膜厚比および周期数を変化させそれらの電気特性および光学特性を調査した。これらの組み合わせによって電気特性は大きく左右され、各層を単純に並列接続した場合によりも良好な結果を示した条件においては、キャリア移動・キャリア生成の機構が機能しているものと考えられる。光学特性はすべての条件で概ね良好な値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Si基板上に作製した多層膜試料のKFMによる劈開面観察によって、各層の表面電位差に対応するコントラストを得ることができた。また、Alドープ/ノンドープZnO多層膜を各層の厚さと周期数をパラメータとして数種類試作し、その特性を評価する段階に至っている。
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今後の研究の推進方策 |
多層膜界面のKFM測定に関しては、界面付近の微小領域での情報が必要であり、今後はさらなる測定条件の最適化を試み詳細な解析を行う。 多層膜の作製では、Mg含有量とバンドオフセットの関係を調査し、最適なキャリア生成層の成膜条件を調査する。また、KFM測定の結果から各層の最適厚さを予測し、優れた透明導電性の発現を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に引き続き行う薄膜の堆積実験では、いくつかのパラメータを変化させて数多くの試料薄膜を堆積させ、作製した試料の電気特性および光学特性を分析試験するというサイクルをとる。その過程の中でターゲット用酸化物粉末と高純度スパッタリングガス、および薄膜を堆積させる基板が必要となる。 一方、薄膜の電子構造解析には走査型プローブ顕微鏡を使用する。各装置の使用料およびSPMカンチレバー等の付随する消耗品が必要となる。また、超高真空装置の運転・維持には常にメンテナンスが必要で、配管部材・銅ガスケットなどの各種真空部品が必須である。
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