研究課題/領域番号 |
23656390
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
滝沢 博胤 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90226960)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | セラミックス / ナノ材料 / 高圧合成 / 結晶化学 / 共有結合 |
研究概要 |
近年、半導体物質への磁性原子注入による希薄磁性半導体薄膜の形成や、人工格子薄膜によるナノスケールでのハイブリッド材料の構築が盛んに行われているが、モノリシックの物質で機能のハイブリッド化が可能となれば、薄膜に限らず様々な形態のデバイス展開も拓けてくる。本研究では、高圧合成法により軽元素共有結合マクロテトラヘドラルクラスター化合物を合成し、クラスター同士の間隙への低濃度イオン・原子挿入によるイオン伝導性の発現や光学的機能設計、さらにはクラスターとドーパントの相互作用による協奏物性・機能発現(希薄磁性半導体等)への展開を目指す。23年度は、高圧合成法によるマクロテトラヘドラルクラスター系の新物質探索を中心に行い、Li-B-S三元系において、新規化合物LiBS2の合成に成功した。粉末X線回折図形は既存のLi-B-S系化合物の回折データには帰属できず、これまでの三元系ホウ硫化物(チオボレート)には同形物質が無い、新たな結晶構造を有する物質である。赤外吸収スペクトル測定からは、BS4四面体の多段連結からなるマクロテトラヘドラル構造に固有の吸収帯が観測され、軽元素マクロテトラヘドロンクラスターの形成が示唆された。すなわち、LiBS2はチオボレート共有結合ネットワークの中に、Ki原子が挿入されたミクロ空隙を有する構造である。Li原子がその空隙内を移動することによってイオン伝導性の発現が期待でき、マイクロ波吸収特性の評価からも、空隙内でLiイオンが可動性をもつことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は三元系ホウ硫化物(チオボレート)における高圧合成による新物質探索を目的とし、高温・高圧条件下での相関係の調査、生成ダイアグラムの作成から研究を着手した。その結果、Li-B-S系において、当初の目的に合致したマクロテトラヘドラル構造を有する新規物質の合成に成功し、当初計画に沿って順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は23年度に合成に成功した新規物質LiBS2の結晶構造解析を行い、その構造的特徴を明らかにするとともに、イオン伝導性を評価して新規のLi系固体電解質としての機能評価を行う。さらに、他の三元系におけるマクロテトラヘドラル化合物の物質探索を引き続き行うとともに、結晶化学的に構造分類を行い、新規の軽元素クラスター化合物群の構造的特徴を明らかにするとともに、その空隙への原子挿入による機能発現の手法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度は合成過程で新規物質を見出し、その単一相合成条件の確立に注力し、資料収集や成果発表のための国内出張を次年度に延期したため、次年度使用額が生じた。24年度は前年度同様、高圧合成実験が主体となるため、そのための物品費(高圧合成用セル部品、薬品類)が主たる使用目的であるが、イオン導電性の評価や所物性の評価のための物品費も使用する。また、最終年度にあたるため、成果の取りまとめを行い、学会発表や論文投稿のための経費を使用する。
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