研究概要 |
高結晶性の単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube: SWCNT)のみで構造制御された「薄膜/バルク界面構造」を作製し、光照射時に起電力が発生することを確かめる。その上で、薄膜/バルク界面構造での温度分布と起電力の相関関係(ゼーベック係数の見積もり)を調べ、起電力発生のメカニズムを解明する。制御された高結晶性SWCNT薄膜/バルク界面構造の作製とキャラクタリーゼーション 使用するサンプルは、「高結晶性の金属・半導体混在SWCNTs」を用いる。欠陥の少ないアーク放電法により合成されたSWCNTsを使用した。精製処理は空気酸化・酸処理によりアモルファスカーボン、触媒金属を取り除く。高結晶化は精製SWCNTsを高真空中(10-5 Pa)、1200ºC、3時間熱処理し(S. -K. Lee, S. Iwata, S. Ogura, Y. Sato, K. Tohji, K. Fukutani, Surface Science 2012, 606, 293-296)、高結晶化を行った。次に洗浄したスライドガラスの両端幅5mmにAg電極を塗布して作製した。スプレーを使用して、電極間の半分をSWCNT薄膜、もう半分を厚いSWCNT膜を塗布し、「SWCNT薄膜/バルク界面構造」を作製した。このセルを表面形状や膜厚(走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡)、チューブ表面状態と構造(透過型電子顕微鏡、ラマン散乱分光)で観察・測定し、材料評価した。さらに光照射による起電力も測定した。得られたセルの起電力は光照射時0.3~0.4 mVであり、光照射によって起電力が生じていることがわかった。
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