研究課題/領域番号 |
23656424
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
塙 隆夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90142736)
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研究分担者 |
野村 直之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90332519)
土居 壽 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30251549)
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (60447498)
右田 聖 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (00512302)
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キーワード | バイオマテリアル / 生体材料学 / 生体機能材料 / 生体適合材料 / バイオコンジュケート材料 |
研究概要 |
歯科インプラントや経皮デバイスと軟組織との接着性を向上させることは、細菌侵入を防ぐ上できわめて重要な課題である。そこで、本研究では金属のような凝縮系固体材料と軟組織とを長期間に渡り耐久性を保持して接着させる技術の開発を目指した。具体的には、①電着分子鎖上への細胞接着性ペプチドの固定による軟組織適合性の獲得、②生体分子電着およびこれと同時の細胞接着因子あるいはハイドロキシアパタイト固定化による軟組織適合性表面の獲得を表面科学的および分子学的手法によって明らかにすることを目的とした。 今年度は昨年度に実施し、軟組織接着に効果が認められたコラーゲンの電着を中心に検討を行った。コラーゲン分子の電着処理前の自己組織化を抑制し、チタン基材表面に均一にコーティングするための条件として、アノード電流とカソード電流を繰り返し印可する、交流電位による処理が最も効率的にコラーゲン分子を固定化できることを見いだした。 そこで、コラーゲン固定化を行ったチタンについて、線維芽細胞の培養試験によって、軟組織適合性を評価した。繊維芽細胞の初期接着、進展および増殖を阻害せず、コラーゲン固定化チタン表面に軟組織適合性があることが示された。一方、軟組織と基材との接着強度の測定は困難であり、今後も再現性・信頼性の高い評価法を確立することが課題となることがわかった。 平成23年度から本年度までの3年間で、生体機能性を持たない金属材料に対し、十分な耐久性をもつ組織適合性表面に改質する手法を確立したことから、目的は概ね達成できた。これらの研究成果については、複数の国際学会、国内学会(招待講演を含む)で講演を行い、成果を発信した。
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