研究課題/領域番号 |
23656426
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
篠崎 和夫 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (00196388)
|
研究分担者 |
櫻井 修 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (20108195)
塩田 忠 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (40343165)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 燃料電池 / CVD法 / 低温合成 / GDC / SDC |
研究概要 |
従来の酸化物イオン伝導体を用いた燃料電池電解質板の欠点である、原料粉体製造の際の原子レベルでの添加イオン分布の不均一、および、高い焼結温度(1200~1500℃)による焼結体中での陽イオン分布の不均一の問題点を解決するために、本研究では従来の固体電解質板作成の考え方を変えて、化学気相析出(CVD)法を用いることで、低温で陽イオンを均一分散し、焼結過程を経ずに直接、固体電解質を作成することを研究した。すなわち、原料の均一混合のために新規な有機金属原料を用いた化学気相析出法を開発し、混合導電性の電極材料上にホモジニアス固体電解質を形成することを目的とした。[CVD法によるGd添加CeO2(GDC)酸化物イオン伝導体の製膜条件の検討] 現有の低圧プラズマCVD装置を用いて、高純度化学研修所(株)との共同研究で開発した新規のMOCVD原料であるCe(EtCp)4:(Ce(C5H4C2H5)4)および Gd(EtCp)3:(Gd(C5H4C2H5)3)を用いて、CVD法によるGd添加CeO2ホモジニアス固体電解質厚膜を検討し、新規原料の最適な製膜条件をみいだした。表面を酸化したSi基板上に300℃程度の著しく低温で緻密な膜を結晶化させることに成功した。得られた電解質膜は、低温での結晶化のために残留有機物を含むために、700℃で低温アニールし、膜面内の電気伝導度の検討をおこない、良好な電気特性を得た。[新規混合導電性電極開発] Ni-NiO-GDC系混合導電体多孔質電極作成の条件を検討し、その上にNi-GDCの微粉を混練したペーストを製膜することでGDCのCVD製膜のための基板を作成した。最終的に、この基板上にGDC電解質膜をCVD製膜することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希土類元素添加CeO2系、および、希土類元素添加ZrO2系のCVD製膜に適した原料はこれまで存在せず、これまで論文等の報告もほとんど無かったが、新規原料を用い、さらにそれを使いこなすプロセスを開発することで、従来に比べて著しく低温で、電解質膜を形成することに成功した。 また、CVD法による製膜のために少なくとも表面が緻密な電極を兼ねた基板が必要であるが、電極は多孔体であることが必要であることから、基板の開発も同時に行う必要があった。この点において、気孔率を更に大きくする必要があるものの、CVD膜の製膜にも成功するなど、予想以上の結果が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
当初、平成23年度の作成を予定していた新規CVD装置を研究計画の変更により、平成24年度に行う事としたため、その費用を次年度使用とした。 平成23年度の研究成果は減圧CVD装置によるものであり、将来の量産化、大型化を見据えると、常圧CVD装置の開発が望まれる。当初計画では、常圧CVD装置の開発は平成23年度に行う予定であったが、全体的な研究計画の見直しにより、減圧CVD製膜条件の確立を優先したために、次年度に先送りせざる終えなかった。この点が当初予定と異なる点である。平成24年度は新規装置の開発を行う予定である。他の点は、予定通りの進行となる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度から繰り越した金額のほぼ全額を新規装置の開発用に用いる予定である。当初から予定した平成24年度予算は予定通り使用する予定である。
|