研究概要 |
実用に供される多くの構造材料では,結晶粒界や異相(析出物など)界面などを利用して強化が図られている.そのため界面の構造や変形抵抗などは古くから多くの研究対象となっている.しかし,バルク(強度)特性の発現のためには,多数の界面を導入する必要があり,個々の界面の強化特性を評価した例は意外に少ない.本研究では,ラメラー構造をもつ2相TiAl/Ti3Al合金を供試材として選定して,種々のラメラー界面を含むマイクロピラー試験片を作製し,試験片サイズの関数として圧縮試験を行い,ラメラー界面を含む試料と含まない試料の降伏応力の差異の試験片サイズ依存性から真に変形伝播に対する界面抵抗-イントリンシック界面変形抵抗-の導出を試みた.双晶境界でも,2つのTiAlドメインで双晶境界に平行なバーガースベクトルを持つ変形モード(<011>超格子転位)が選択されると双晶境界を含むマイクロピラー試験片の降伏応力は,個々のドメインのマイクロピラー試験片のそれと有意差はなく,試験片サイズにもあまり影響は受けない.しかし,2つのTiAlドメインで双晶境界と交差するバーガースベクトルを持つ変形モード(1/6<112>双晶転位)が選択されると,降伏応力は双晶境界を含むマイクロピラー試験片でかなり大きくなり,この降伏応力の増大は試験片サイズに強く依存し,サイズが小さくなるほど増大する.この増大は,試験片サイズが2μmよりも小さくなると顕著に現れ,1μm試験片サイズでは,降伏応力の増大は2~3倍にも達する.これらから,界面での変形モード間の歪の適合性が重要な役割を果たすと考えられ,ラメラー界面の弾性拘束応力の減少や粒内転位源からの応力集中の低下は試料厚さ2μmを境に大きく変化すると結論付けることが出来る.
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