研究課題/領域番号 |
23656434
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高島 和希 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60163193)
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研究分担者 |
松田 光弘 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (80332865)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | マイクロ材料試験 / 白色干渉 / ひずみ計測 / 複相材料 / 変形 |
研究概要 |
金属材料の力学的性質は、結晶粒径・粒界、析出物、異相界面等の材料の構成組織要素と密接に関連しており、材料の機械的性質や変形挙動をマルチスケール的に解明するためには、組織構成要素の強度や界面での局所的な変形挙動を直接的計測する必要がある。本研究では、材料表面においてナノメータレベルの変位・形状計測が可能な白色干渉計測技術を用いることで、複相組織から構成される金属材料の各構成相ならびにその界面における局所的な微小変形挙動を、大気中でその場観察できる装置の開発を世界で初めて行うとともに、この方法を利用して複相組織材料における降伏から破壊までの局所変形挙動を明らかにすることを目的とする。平成23年度は研究の初年度にあたるため、現有の微小材料試験機に白色干渉計を組み合わせ、材料中の微小かつ局所的な変形挙動のその場観察が可能な装置の開発を行うとともに、その性能確認を行った。まず、現有の微小材料試験機に対して、引張試験時の軸合わせが精密に行えるように改良を行うとともに、白色干渉データを高速で転送、保存できるようにした。次に、改良を行った試験機の性能確認のために、当研究室においてすでに機械的性質が確認されている厚さ10μmの冷間圧延金テープを利用して、引張試験を行い、表面の微小変形挙動の観察と歪計測が可能なことを確認した。さらに、フェライト/マルテンサイト鋼(DP鋼)から切り出した微小試験片に対して引張試験を行い、マルテンサイト周りの変形挙動観察を行えることを確認した。これにより、次年度以降に予定している複相組織材料の変形挙動解明が行うことが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は計測装置の開発とその性能確認のみを行う予定であったが、これを早期に達成したため、次年度予定していた複相金属材料の変形過程の観察の一部を前倒して行うことができ、当初計画以上の研究成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に確立した微小材料の変形挙動を観察する新しい手法を活用して、塑性変形をしない析出物及び塑性変形できる析出物から構成される2相組織金属材料から、微小試験片を切り出して、微小引張試験を行い、塑性変形に伴う析出物周りの微小変形挙動の観察を行う。塑性変形をしない析出物を含む金属材料として、フェライト/マルテンサイト鋼(DP鋼)、塑性変形できる析出物を有する金属材料として、Mg-Zn-Y合金を使用する。得られたデータをもとに、複相金属材料の変形挙動を、降伏段階、加工硬化段階、最終破壊段階に分けて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、当初計画通りに複相金属材料の微小引張試験を継続して行うとともに、変形挙動の微視過程の観察を進める。そのための試験片加工ならびに計測に必要な消耗品として経費を使用する。また、成果発表のための国内旅費にも使用を予定している。
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