本研究では,微細多結晶でありながら高い光電変換効率が得られるCdTeに着目し,その粒界電子物性の理解に基づいた粒界設計により新規な太陽電池材料を創出するための原理を得ることを目的とした。CdTe粒界のポテンシャル障壁高さは粒界性格に依存するとともに,粒界の極性(Cd極性,Te極性)に著しく影響されること, 粒界に偏析するClは粒界ポテンシャル障壁を高める効果があることを明らかにした。これらの結果より,粒界はbuilt-in potential(内蔵電界)として作用し,粒界近傍で光生成された電子-正孔対の分離を促進することにより,光―電気変換効率向上に寄与すると結論づけられた。
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