研究課題/領域番号 |
23656437
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
足立 吉隆 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (90370311)
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研究分担者 |
中田 伸生 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50380580)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ひずみ測定 / 弾性ひずみ / 塑性ひずみ / 応力分配 / ひずみ分配 / 二相組織 / Wilkinson法 / デジタル画像相関法 |
研究概要 |
転位、結晶方位、塑性ひずみ、弾性ひずみ完全同一視野ハイブリッド観察手法の確立に挑戦した。対象材料として主にフェライト-マルテンサイト二相鋼(DP鋼)を用いて、変形に伴う弾性ひずみをEBSD-Wilkinson法で評価し、同時に、同一視野における塑性ひずみをデジタル画像相関法で評価した。変形中SEM-EBSD解析は、FESEM内に独自改良した小型引っ張りステージを挿入して実施した。この情報に別途実施した中性子線回折測定で得た平均的な塑性ひずみ、弾性ひずみの結果を織り交ぜて、変形中の階層的な材料組織変化に関する情報を得た。その結果、DP鋼における弾塑性域では、降伏点近傍では(1)フェライト粒間でのひずみ分配が生じ、これが加工硬化の主要因と考えられた。更に変形が進むと、(2)フェライトーマルテンサイト相間でのひずみ分配が重畳し、加工硬化がさらに進むものと考えられた。更なる変形では従来から言われているように転位同士の絡まり合いが加工硬化の主因子と考えられるが、弾塑性域では粒間、相間でのひずみ(あるは応力)分配が主要な要因であることを明らかにした。別途行った組織の三次元解析の結果と中性子線回折の結果を考慮すると、軟質相がであるフェライトが、硬質相であるマルテンサイト相に囲まれる傾向が強くなると、フェライト中の内部応力が高くなる傾向があり、硬質相であるマルテンサイト相だけではなく、フェライトもそれを取り囲むマルテンサイト相の形態制御によりより硬質化し、加工硬化率を増加させうる可能性を見出したと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定したECCI法による転位観察が進んでいないが、他は予定通り順調に測定が進んでおり、「おおむね順調に進展している」という評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
中性子線回折、Wilkinson法による弾性ひずみ測定、デジタル画像相関法による塑性ひずみ測定を駆使し、これに三次元組織解析を組み合わせ二相組織鋼の変形過程のハイブリッド測定を進め、特に硬質第二相の分散性がひずみ分配挙動に及ぼす影響を明らかにしていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度予定していた試験片加工費が、金型による引っ張り試験片の打ち抜き加工に変更したため、大幅に減額となったため未使用金が生じた。次年度は、その未使用金を含めて、試料高速切断機の購入、試料研磨に用いる消耗品、国内出旅費を中心に研究費を使用する予定である。
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