研究課題/領域番号 |
23656446
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小泉 雄一郎 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10322174)
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研究分担者 |
西山 宏昭 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (80403153)
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キーワード | 微細加工 / リソグラフィー / 相分離 / 塑性ひずみ / 相変態 / 析出 / チタンーアルミ合金 / 層状組織 |
研究概要 |
昨年度に報告したとおり、リソグラフィーで作製したモールドのインプリントによる、Ti-Al合金中のγ相析出サイトの制御は困難であった。しかしながら、インプリントされた表面には、圧痕を繋ぐように底面すべりの痕跡が連なっていたことから、局所塑性加工による底面すべりの導入自体は可能であることが示唆された。その為、ダイヤモンドナイフを用いた超微細塑性加工により相分離の起点を一定間隔に制御する新しい加工技術の開発に挑戦した。この研究では、アーク溶解によりγ相とα2相が交互に積層した層状組織をもつTi-39at%Al母合金を作製し、光学式浮遊帯域溶融法による単結晶育成後、板状結晶を切り出した。板面はγ-TiAl相が析出する(0001)面と垂直な{7 -2 -5 0}面とした. 溶体化処理、真空封入後、α単相となる1473 Kにて溶体化した後に氷水中に焼き入れることでAl過飽和α2単結晶を得た。その結晶表面に、ダイヤモンドナイフを(0001)底面そって押し当て、先端角度60°刃渡り0.6 mmあるいは1.5 mmのV字状超微細塑性加工装置を用い、2μmから40μmの一定間隔で、2~5N の荷重を加え、局所的に塑性変形を加えた。加工溝周辺の内部組織を、集束イオンビーム(FIB)加工により作製した薄膜の透過電子顕微鏡(TEM)観察し、変形部の下にのみ(0001)底面に沿って高密度な転位の帯が形成されることを見出した。これに800℃での二相化焼鈍を施すと、試料全体にγ-TiAl相が生じてしまった。この理由として、800℃では未加工部でも相分離の駆動力が大きく、加工による駆動力上昇の効果が小さい為と考え、未加工部での駆動力が下がるように時効温度を900℃に挙げて実験したところ、加工部のみγ相が析出し、γ相の分布を制御することができた。
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