研究課題/領域番号 |
23656458
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
菊田 浩一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00214742)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 精密造形プロセス |
研究概要 |
本年度は、非接触印刷法に利用できるセラミックス粒子分散スラリーの合成を中心とした検討を行った。特に微細な粒子は凝集していることが多く、通常のミリングなどの処理によって分散させることが困難である場合がほとんどであった。そこで、今年度は小型のジェットミル装置を導入することによって、印刷にできる粒子分散状態を得ることを主目的とした検討を行った。 本研究では、既に当研究室において作製と評価を行ってきた燃料電池への応用を題材とした検討を行うために、(La,Sr)(Co,Fe)O3-Gd:CeO2を題材とした検討を進めた。比較的高濃度のスラリーを作製するために、あらかじめこの混合粉末を溶媒中で分散剤を添加、ミリング処理してスラリーを作製することで、非接触印刷法の一つあるディスペンサー印刷に応用できる試料を作製できようになった。これを用いた印刷によって、電極であるカソードを作製した。この中で、高比重の粒子の有機溶媒や水などの媒体中への分散が非常に困難であることなどが明らかとなってきた。 現在はまだ、基板上への粒子層の塗布は高分解能の印刷には至っていないが、これには印刷による広がりの問題や乾燥段階での不均一性の発生などが考えられる。こうした問題を解決するためには、より親和性の高い基材の利用や表面改質、さらには、多孔質基板の利用などが必要不可欠であることがわかった。 また、作製した粒子から成る印刷層の処理について基礎的な表検討を行ってみたが、弱い紫外線処理などでは、良好な特性発現いはいたらないことが明らかとなってきた。そこで、今後はよりエネルギー密度の高い光源を応用が必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期の計画では、採択後すぐに装置を導入する予定であったが、納入が送れたため多くの種類の検討を行うことは困難であった。しかし、全体的に初年度の計画は遂行することができ、今後は実際に性能の評価などを行うことによって、利用しやすい造形法として役立たせることを考えている。次年度以降の光処理については、予備実験によって問題点も明らかとなっており、今後手法の変更も含めた検討を考えている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き微細なセラミックス粒子の種類に応じた化学的処理を行い、より分散性と安定性の両立したスラリーを作製を検討する。そのために、表面状態の評価も必要に応じて検討する。 こうした検討の後、多孔質基材などの上にセラミックススラリーを印刷塗布することによって目的の構造を作り出す検討を行いたいと考えている。多孔質と緻密質のセラミックスを作り分けることは容易ではないが、ガスの拡散などに適した多孔質構造などを作製する検討を進める計画である。 また次年度の初期計画では、光集光ユニットを導入して光処理を検討する予定であった。しかし、導入予定の装置の詳細を問い合わせたところ、集光は可能であるが光出力密度は大きくすることはできないことがわかった。これでは処理を行っても機能発現には至らないと考えられるため、集光装置の導入によらない、より高い出力の装置を用いた処理を検討したいと考えている。さらに初期計画にあるような電気化学セルを中心とした検討が進めば、これに加えて、より汎用性のあるセンサー材料などの厚膜作製なども試みたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
先に述べたように、採択時の計画にあった既存装置への集光装置の取り付けによる光処理は困難であることから、集光装置は導入せず、出力の大きな装置を借りて光処理を行いたいと考えている。研究費は主に、用いる機能性粒子と多孔質基板の購入に主に用いたい。また、基材との反応を考えて、より反応性が小さく安定性の高いと考えられる非酸化物も含めて、いくつかの基材の応用を試みたいと考えている。
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