研究課題
本研究では組織制御法及び結晶粒微細化法として、金属管を回転しながら曲げ,さらにねじるという革新的で効率的な連続方式の管材の組織制御法および微細化法(CRB法)開発を目指し、新たにCRB試験機を設計試作し、その試験機でマグネシウム合金管AZ31を用いた原理検証実験を行った。成果は以下のとおりである。(1)CRB試験機の設計試作:CRB試験機は四点曲げ試験法をベースにし,内側の2つの負荷点を下方へ押込んで管に曲げ変形を与えながら、モーターで管端を回転させることによって回転曲げ繰返し変形を付与し、そこを高周波加熱する構造機構とした。仕様として四点曲げの押込み工具スパン80mm、最大押込み変位50mm、モーター最大トルク1.3N・m、及び高周波誘導加熱の最大出力10kWのCRB試験機を試作した。(2)マグネシウム合金管AZ31の結晶粒微細化と組織制御に及ぼす温度と加工時間の影響:直径12.8mm×肉厚0.8mmのAZ31を用いて、試作したCRB試験機によって曲げ角度150°まで曲げる実験を行った。回転速度は20rpm一定で加工温度は150から350℃までの5条件とした。熱処理は上記温度で10分保持後水冷とした。その結果、どの温度においても熱処理だけの場合と比較して、CRB変形のほうが微細化され、また加工温度の低い方がより微細化されることがわかった。CRB加工時間を10分まで変えて影響を調べた結果、加工時間が長いほど強度と伸びの向上を確認した。(3)CRB法による結晶粒微細化後の強度特性評価:一定温度での熱処理と繰り返し回転曲げを行ったマグネシウム合金管の引張特性を比較した結果、200°Cの条件下でCRB変形をした場合に最も強度と延性が向上することを明らかにした。以上2年間にわたる研究結果から、本CRB法が金属管材の結晶粒微細化に有効なプロセスとなる可能性が大きいことを見出した。
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Advanced Materials Research
巻: 652-654 ページ: 1956-1960
doi:10.4028/www.scientific.net/AMR.652-654.1956