研究概要 |
(1)近年,工業製品においてエネルギーの効率化やより高度な機能を追求する動きが高まっており,新しい機能性材料の開発が望まれている。その中でも10nm以下のシングルナノ粒子は,融点の低下や高い触媒作用など特異物性を有すること従来から知られており, 素のバルク材料の物性とは異なる性質を持つためにその可能性に注目が集まっており、中でも10nm未満(シングルナノ)の粒径を有し製造後の性状安定性に優れた合金の球状ナノ粒子を安定的に製造,分級回収することが求められていた。 (2)本研究では, 申請代表者らがすでに独自開発を行った液中プラズマ放電の手法(「導体微粒子を製造する方法」,出願人北海道大学特願2007-034698、PCT Int. Appl. (2008)(WO 2008099618 A1 20080821))を基礎に微小で高品質なステンレス合金ナノボールを量産するための基礎技術開発を行なった。 そこで、本研究では、ステンレス合金のナノボール(ナノメートルサイズの球状粒子)に着目し、申請者らが開発した液中グロー放電法を利用して極めて小さなナノボール作製するための基礎技術を確立すると共に、ナノボールを効率よく作り出すメカニズムを解明し、ナノボール合金設計・機能評価を行うことを目的とした。 極小ステンレス合金のナノボール作製に関して,液中グロー放電法を利用したナノボールを作製する基礎技術の高度化をはかり,印加する電圧と磁場および電解溶液を変えることにより作られるナノボールの粒径分布を制御することを可能にした。これにより粒径2~3nmの世界最小のステンレス合金ナノボールを得ることができた。また、このステンレス合金ナノボールがデバイス化への応用面の期待ができる光触媒効果を有することを見出した。
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