研究課題/領域番号 |
23656477
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
八木 俊介 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (60452273)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 各種製造プロセス / 酸化物半導体 / 複合ナノ材料 / 希少金属代替 |
研究概要 |
酸化物半導体ZnOを電解法・無電解法により鉄族金属および白金基板上へ析出させるプロセスについて検討を行った。電極近傍におけるpH分布を数値計算によって求め、さらに電極電位をその場測定し電位pH図と照らし合わせることで、電析条件の最適化を行った。その結果、白金単結晶上にZnOをエピタキシャル成長できる条件を明らかにした。また、鉄族金属上にもZnO膜を2次元成長できる条件を確立した。具体的には、鉄族金属上にZnOを析出させる場合、適切な活性化処理(パラジウムなどの金属核をあらかじめ基板表面に析出させておく処理等)を行うことで、より均一な膜が得られることを明らかにした。一方で、ネオジム磁石を平行に配置して静磁場を発生させ、その中で鉄族金属ナノ粒子の合成を行うと、鉄族金属核が磁場方向に優先的に成長した鉄族金属ナノワイヤが得られることを明らかにした。これまで鉄族金属ナノワイヤの合成は超伝導電磁石で発生させた10T以上の磁場中で行っていたが、ネオジム磁石により発生させた1T程度の比較的微弱な磁場でも鉄族金属ナノワイヤの形成が可能となった。これにより反応装置の設計の自由度が向上し、特に温度の制御が容易となった。以上の成果をもとに、鉄族金属ナノワイヤの表面をZnOで被覆することを試みたが、析出するZnOの結晶粒がミクロンオーダーであるため、鉄族金属ナノワイヤを均一に被覆することができなかった。来年度はより結晶粒が小さなZnO膜を形成する条件を探査し、鉄族金属ナノワイヤを均一にZnOで被覆した鉄族金属・酸化物半導体のナノコンポジットを形成できる条件の確立を目指すとともに、酸化銅(I)や酸化銅(II)などのその他の酸化物半導体の形成条件についても検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画においては、本年度は強磁場中での鉄族金属の形態の変化について詳細に検討を行う予定であったが、当初の予定以上に研究が進み、鉄族金属上へのZnO薄膜の形成条件の探査まで行うことができ、特に活性化処理の効果を明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はZnO薄膜による鉄族金属ナノワイヤの均一な被覆のため、ZnO結晶粒の大きさ制御や異なる還元剤を使用した際のドーピングの効果を明らかにする予定である。実際にフォトカレントなどを測定することにより、ドーピングがZnOの物性に与える影響を検討する。さらに、本プロセスをその他の酸化物半導体の液相合成プロセスへと発展させる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
酸化物半導体材料や鉄族金属ナノワイヤの合成のための試薬費や、実験用セルなどの消耗品費として使用する予定である。
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