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2011 年度 実施状況報告書

磁気異方性を利用した単結晶微粒子からバルク単結晶の創成

研究課題

研究課題/領域番号 23656479
研究機関大阪大学

研究代表者

安田 秀幸  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60239762)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード磁気配向 / 結晶配向 / 磁気科学 / 単結晶 / 擬単結晶
研究概要

材料特性の発現には単結晶が必須あるいは望ましい機能性化合物は多いが、単結晶の育成が困難な化合物も少なくない。しかし、包析反応などにより形成する化合物の単結晶を従来の溶融プロセスにより作製することは困難である。本研究では、結晶の磁気異方性を利用して単一グレイン微粒子からバルク単結晶を作製するプロセスの開発を目指している。本年度は、単結晶育成が困難な斜方晶FeSi2化合物を対象に、3軸が配向した仮焼結体の作製を、異方静磁場の最適化、流体中の粒子保持条件の調整により試みた。以下に具体的な成果を記す。 テーラード磁場の最適化:マグネットを回転させることができないため、磁場中で試料を回転させる手法を選んで、回転方法の最適化を検討した。静磁場方向を中心に一定角度の首振り運動をさせることにより異方性磁場を印加することが最適であった。 配向粒子の固定化:粒子を保持した流体の除去は、サスペンジョン表面からの溶媒の蒸発あるいは鋳型への溶媒の吸収を試みたが、後者の方が配向を保持できることが明らかになった。 流体の選択:流体の粘性が低い場合、異方性磁場印加時に試料の運動により対流が生じ、配向度を低下させた。一方、流体の粘性が高い場合、鋳型への吸収速度が粘性抵抗により極端に遅くなり、実用的な時間で凝集体の作製が困難であった。首振り運動に対して最適な粘性の流体を用いることで、実用的な時間で溶媒を除去し、配向度を保持できることが明らかになった。 得られた成果をもとに、今後はより配向度の高いバルク単結晶の作製とその物性評価を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題において3軸配向のバルク結晶の作製を実現するために達成すべき項目として、次の3点を挙げた。1)目的とする結晶の磁気異方性を簡易に評価する手法2)評価された結晶磁気異方性により、3軸配向に適したテーラード磁場を設計する手法3)配向を固定する手法ならびに配向度を低下させずに擬単結晶を焼結する手法1)については、首振り角度と配向度の関係から磁化率の3軸異方性を簡便に見いだす方法を確立した。3軸配向に適してテーラード磁場(首振り磁場における速度と角度)を最適化できることを明らかにし、最適化の指針を得ることができた。3)では、溶媒の蒸発では良好な3軸配向が得られないが、鋳型への溶媒の吸収(スリップキャスティング)では3軸配向した凝集体、さらに焼結体が得られた。これらの成果は、単一グレイン微粒子からバルク単結晶を作製するプロセスの原理となる知見であり、本課題の達成に貢献できる。一方、配向度を保ったまま焼結体の見かけ密度を増加させる手法については、改善すべき点がある。以上の状況を踏まえ、「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

今後の研究における重要な課題は、焼結時における配向度の低下を抑制することとバルク単結晶のための見かけ密度の向上を両立させることである。焼結時の配向度の低下は、焼結のために印加した圧力により粒子が不均一に移動することに生じている。簡便で、かつ、均一な圧力、つまり静水圧的応力の印加を目指して、加圧の方法を検討する。また、焼結温度、時間などの最適化とそのための指針を得ることも必要である。 より密度の高い3軸配向のバルク体の作製ができれば、物性の異方性を測定し、単一グレイン微粒子からバルク単結晶を作製するプロセスの開発について総括する予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度を同様に、研究費を金属地金、溶解用るつぼ、溶媒に関係する薬品類、スリップキャスティング鋳型の素材、焼結用のダイス、SEM消耗品の購入に充てる。また、物性評価用の治具作製にも使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 静磁場下での凝固現象と結晶配向現象2012

    • 著者名/発表者名
      安田秀幸
    • 学会等名
      日本磁気学会 第19回強磁場応用専門研究会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2012.3.19

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公開日: 2013-07-10  

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