研究概要 |
平成23年度に得られた結果を基にして、混合溶融塩の電解・Ti電析実験を主体的に行った。すなわち、TiCl2-KCl-NaCl混合溶融塩の電解を行い、混合溶融塩中のTi2+イオンの還元によるTi金属の電析を行った。電解実験は、混合溶融塩生成反応と同期的なTi電析を試みた。KCl-NaCl溶融塩中でカソードであるチタン板にTiCl4(g)接触することによって、連続的にTiCl2-KCl-NaCl混合溶融塩を生成し、直流電源を用いて定電圧電解した。実験変数を、供給濃度(TiCl4/Ar=0.029, 0.163, 0.390)とし、定位電圧電解を2.7Vで2h行った。結果として、供給濃度が高いと電流密度が高くなっていることがわかった。これは、TiCl2濃度が高いことによるものと考えられるが、一方、TiCl2濃度が高いので、TiCl4+TiCl2→TiCl3の反応が起り、Ti3+の電解が起こったとも考えられる。また、供給濃度が高い方が、電流密度が上下に激しく変動している傾向が見られた。これは、析出物の剥離と析出が繰り返し生じているものと考えられる。 析出物は、黒色粉末で灰色の金属光沢のある薄い箔も混ざっていた。析出物をXRDで分析したところ、析出物は主に金属チタンであるが、酸化チタンも生成されていることがわかった。これは、供給濃度の場合でも、同じような結果が得られた。原因として、析出物回収の処理に問題があったと考えられる。 析出量は、供給濃度がTiCl4/Ar=0.390のとき最も少なく、TiCl4/Ar=0.029, 0.163では析出量に差があまりなかった。SEM-EDSで観察したところ、析出物は、針状に析出していることがわかった。本年度の結果として、TiCl4供給濃度によって電流密度が変化し、供給濃度が低い時にTi析出物が多いことが確認された。
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