平成23年度に得られた結果を基にして、混合溶融塩中でのTi電析実験を主体的に行った。NaCl-KCl溶融塩中にTiCl4気体を、反応媒体兼カソードであるチタン板と接触させてTiCl_2-NaCl-KCl混合溶融塩を生成させ、同時にTiCl2の直流電源による定電位電解し、Ti電析を行った。TiCl_2生成に関して、TiCl_4気泡をチタン板に接触させた場合とさせない場合で生成量に大きな違いは見られなかった。そのことからTiCl_2の生成はTiCl_4気泡とチタン板の接触による反応ではなく、むしろ溶融塩中に溶解したTiCl_4とチタン板による反応によって生成するものであると分かった。また、TiCl_2の生成量が数回繰り返し使用したチタン板を用いた場合低下したことから、使用回数すなわちチタン板の表面状態に大きく左右されることが分かった。 定電位電解を行った結果、電流密度が上下に大きく変動していた。これはTiCl_4気泡とTi作用極の周期的な接触や電析物の剥離と析出が繰り返し生じている可能性が考えられる。また、実験で測定した積算電気量及びファラデーの法則より、Ti(2+)+2e(-)→Tiの反応に要する電気量の実験値と理論値を算出した結果、電流効率は約47%であった。原因として、溶融塩中にはTi(2+)+Ti(4+)⇌2Ti(3+)の反応によりTi(3+)が存在して、Ti(3+)+e(-)→Ti(2+)やその他の電極反応が同時に進行していたものと考えられる。電析物をSEM-EDSで分析したところ、粒状および針状の電析物を確認でき、析出物は金属チタンと酸化チタンが混在していた。酸化チタンについて、溶融塩の脱酸がうまくいっていないが原因として考えられる。
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