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2011 年度 実施状況報告書

新規複極性膜による燃料電池のドライ運転

研究課題

研究課題/領域番号 23656487
研究機関静岡大学

研究代表者

須藤 雅夫  静岡大学, 工学部, 教授 (80154615)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード燃料電池 / 複極性膜 / ドライ運転
研究概要

低加湿型や自己加湿型の燃料電池の開発が進められている。低加湿または、無加湿での運転においても性能が下がらず高い性能をもつ燃料電池には新規な電解質膜の作製が必要である。自己加湿型燃料電池に関しては、電解質膜内に白金を分散させ膜内でリークしたガスと反応し自己加湿効果を持たせる白金分散膜の開発が行われた。そこで本研究では、4-VP及びヘキサフルオロプロピレンをモノマーとしてプラズマ重合法によりプロトン交換膜上へアニオン交換膜を形成し、バイポーラ膜の作製を行い、膜物性、発電性能およびセル内部の湿度変化の評価を行った。1. SEM観察結果より、プラズマ重合により、基材表面に重合物による層が確認された。重合時間が1分以上で表面に凹凸のある層が確認され、15分間プラズマ重合をした膜の重合層の厚さは1.2 ミクロンであることがわかった。2. XPS測定の結果から、モノマーとして使用した4-VPとヘキサフルオロプロピレンが重合していることを確認した。3. 伝導度測定結果より、重合時間の増加に伴い、作製した膜の伝導度が減少することが確認された。また、作製したバイポーラ膜は市販バイポーラ膜よりも高い伝導度を示した。4. 15分間プラズマ重合を行ったバイポーラ膜では、Nafion212と比較すると最大出力密度が低下したが、市販バイポーラ膜と比較すると、出力や限界電流密度、OCVにおいて、いずれも高い性能を示した。5. Nafion212と作製したバイポーラ膜を用いた燃料電池では、運転時に異なる湿度挙動変化を示した

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

新規な複極性膜を陽イオン交換膜の片面にアニオン交換機を有する層をプラズマ重合で被覆した。剥離、亀裂のない荷電層を作成するための条件を決定した。この複極性膜を用いて水素―酸素燃料電池発電試験を実施し、プロトン交換膜での性能と比較した。ドライ運転のために供給ガスの湿度を変化させ、アノードとカソードの入口、出口での湿度変化を観測した。その結果、プロトン交換膜での水分輸送と、複極性膜での水分輸送が大きく異なっていた。この結果は、複極性膜の自己加湿効果につながる成果である

今後の研究の推進方策

現在は、発電条件として、60℃、水素、酸素供給圧力差なしの条件である。湿度80%、40%での結果を得ているが、さらに低湿度での実験を実施する。水分輸送の解析を実施し、プロトン交換膜、アニオン膜、複極性膜での水分輸送の違いをモデルにより構築する。また、複極性膜を用いる膜電極接合体の設計の最適化を試験する。さらに、複極性膜の膜特性を詳細に検討する。

次年度の研究費の使用計画

複極性膜の作製のための材料購入費、アニオン荷電層のための化学試薬に当てられる。また、一部は研究調査旅費、データ整理のための謝金に使用予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Anion Conductive Membrane Prepared by Plasma Polymerization for Direct Methanol Alkaline Fuel Cell2011

    • 著者名/発表者名
      M. Sudoh 他3名
    • 雑誌名

      Transactions of ECS

      巻: 41(1) ページ: 1775-1784

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Design of Multi-Layer Anode for Direct Methanol Fuel Cell2011

    • 著者名/発表者名
      M. Sudoh 他4名
    • 雑誌名

      Electrochemistry

      巻: 79 ページ: 361-363

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of Carbon Dioxide in Hydrogen on PEMFC for Using Reformed Gas from Biogas2011

    • 著者名/発表者名
      M. Sudoh 他4名
    • 雑誌名

      Electrochemistry

      巻: 79 ページ: 364-348

    • 査読あり
  • [学会発表] 燃料電池の進展2011

    • 著者名/発表者名
      須藤雅夫
    • 学会等名
      日本化学会・東海コンファレンスin静岡(招待講演)
    • 発表場所
      静岡大学(静岡県)
    • 年月日
      2011年12月1日
  • [学会発表] 燃料電池構成材料の表面改質効果2011

    • 著者名/発表者名
      須藤雅夫
    • 学会等名
      材料技術研究協会」・表面改質研究会(招待講演)
    • 発表場所
      FDKエナージ(株)(静岡県)
    • 年月日
      2011年11月7日
  • [学会発表] ガス拡散電極を用いる電気化学プロセスの設計2011

    • 著者名/発表者名
      須藤雅夫
    • 学会等名
      第36回電解技術討論会(招待講演)
    • 発表場所
      同志社大学(京都府)
    • 年月日
      2011年11月14日

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公開日: 2013-07-10  

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