研究課題
本研究における最終的な目標は、ハイブリッド型燃料電池での自己加湿運転(HMFC)であるが、その前段階として、アニオン膜(A201、A901)を使用して、定電流測定を行いAEMFCでの水輸送解析を行った。AEMFC用に、オリジナルの電極を自作した。電極には、Pt/C触媒、蒸留水、1-プロパノール、Anion ionomerを独自の割合で撹拌し、触媒インクを作製し、カーボンペーパー上に塗布し、作製した。AEMFCでは、膜内をOH-が輸送しており、それに伴い電気浸透水がカソードからアノードへと輸送されていることが確認された。AEMFCにおいて、RHセンサーから水分量を測定し、膜内正味水輸送係数(NWTC)を算出した。AEMFCでのNWTCの算出は貴重なデータであると考えられる。PEMFC、AEMFCにおいて、膜厚が厚いとEOD(電気浸透)が、膜厚が薄いとBD(逆拡散)が支配的であることが確認された。このため、PEM,AEMを張り合わせたHybrid MEAでは、各イオンが向流に輸送され膜界面で水生成反応が起きると考えられる。また、膜厚の薄いPEMとAEMを使用した場合では、それぞれの膜で逆拡散が支配的となるため、膜界面で生成した水が逆拡散され、膜全体を潤す、自己加湿効果を持つことが十分期待できる。HMFC(Hybrid MEA Fuel Cell)による発電性能の比較を行った。BP-1、Nafion212 & A901、Nafion212、の異なる3種類の電解質膜を使用してMEAを作製した。発電測定結果より、作製したハイブリッド膜は、市販バイポーラ膜であるBP-1膜よりも高い性能を示した。また、電解質膜にNafion212のみを使用したものよりも、A901を使用した方が高い性能を示した。このため、HMFCのMEAを作製する際には、アニオン膜の存在が非常に重要であった。
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