研究課題/領域番号 |
23656496
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
中尾 真一 工学院大学, 工学部, 教授 (00155665)
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研究分担者 |
赤松 憲樹 工学院大学, 工学部, 助教 (50451795)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | リポソーム / SPG膜 / DDS / 単分散 |
研究概要 |
平成23年度は,新規な膜利用法としての,膜を用いた単分散リポソームの調製が可能であることを示した.本コンセプトは非常にチャレンジングなものであり,研究初年度でこれを達成することができたのは大変大きな成果である.モデル脂質として3-sn-ホスファチジルコリンを用い,これをイソプロピルアルコールに溶解した溶液を,膜を介してりん酸緩衝液中へ展開することでリポソームが調製できることを明らかにした.調製したリポソームを透過型電子顕微鏡で観察したところ,リポソーム形状は多層であることが明らかとなった.また調製したリポソーム分散液の動的光散乱測定を行ったところ,粒度分布の比較的小さなリポソームであることが明らかとなった.この理由は,用いた膜がShirasu Porous Grass (SPG) 膜と呼ばれる,細孔径分布のシャープな膜であったことが考えられ,細孔径分布がシャープな膜を用いて単分散リポソームを調製できることは当初の我々の予想通りの結果であった.さらに実験条件の1つである,イソプロピルアルコールに溶解する脂質濃度がリポソームに与える影響を検討するため,基準となる濃度の10分の1の濃度で実験をおこなったところ,得られるリポソーム形状は同じく多層であることが明らかとなった.脂質濃度に加えて,用いるSPG膜の細孔径,脂質を溶解する溶媒の種類,さらには圧力などの運転条件がリポソーム調製の可否,さらには得られるリポソームの形状などに与える影響の検討も既に着手している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に基づき,膜を用いたリポソーム調製が可能であることを示すことに成功した.
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今後の研究の推進方策 |
リポソームの構造制御,モデル薬物封入に関する検討を行う.さらに単分散性および粒径制御技術の確立を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は膜を用いたリポソーム調製が可能であることを示すことに成功したが,「脂質の種類を変えても同様にリポソームが調製が可能であること」を示すことが技術としての確立のためには必要で,これには着手できていない.脂質は高額なものも多く,これを中心に消耗品費を繰越することになった.現時点で,1式の価格が50万円以上の物品を購入する予定はない.
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