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2011 年度 実施状況報告書

広範な有機合成反応に活性を示す多機能メタルフリー窒素ドープ炭素触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23656499
研究機関北海道大学

研究代表者

荒井 正彦  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60125490)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード窒素ドープ炭素 / メタルフリー炭素触媒 / 機能性炭素
研究概要

本年度は活性炭を出発炭素原料として,種々の方法で窒素ドープ試料を作製した。窒素ドープは,アンモニア処理,空気とアンモニア混合ガスによるアンモオキシデーション処理,一酸化窒素処理で行った。これらの方法で調製した窒素ドープ炭素試料の過酸化水素分解,Knoevenagel縮合,エステル交換,酸化反応等で調べた。その結果,いずれの反応に対しても窒素ドープにより活性は顕著に向上し,窒素ドープが活性点の生成・発現に寄与していることを確認した。X線光電子分光法により炭素表面にドープされた窒素の量と状態を調べたところ,触媒活性と窒素ドープ量の間に関連性は認められず,ある特定の型のドープ窒素が活性に関与しているものと推察した。Knoevenagel縮合は,ベンズアルデヒドとシアノ酢酸エチルを反応基質として行った。生成物シアノケイ皮酸エチルの収率は窒素ドープ処理によって異なり,アンモニア処理 = アンモオキシデーション処理 > 一酸化窒素処理であった。エステル交換反応は酢酸エチルとメタノールで行った。生成物酢酸メチルの収率はKnoevenagel縮合の場合と異なり,アンモニア処理 > アンモオキシデーション処理 > 一酸化窒素処理であった。X線光電子分光測定から異なる型の窒素量を見積もり活性との相関を調べたところ,Knoevenagel縮合ではピリジン型窒素と比較的良い相関が認められ,この型のドープ窒素が活性発現に関与していると考えられた。しかし,エステル交換ではどの型の窒素量とも良い相関は認められなかった。活性発現には他の化学種(例えば表面酸素)も関係しているのではないかと思われた。Knoevenagel縮合とエステル交換は塩基性物質が触媒となる反応であるが,本窒素ドープ炭素は金属あるいは金属酸化物を触媒とする空気酸化(キサンテンを基質とした)にも活性を示すことが分った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

窒素ドープした炭素材料が,塩基触媒反応と考えられているKnoevenagel縮合やエステル交換反応に活性を示すこと,更に,金属や金属酸化物が触媒となる過酸化水素分野や酸化反応にも活性であることを示すことが出来た。即ち,窒素ドープ炭素材料は触媒として多機能であることを具体的に明らかにすることが出来た。

今後の研究の推進方策

窒素ドープ炭素材料が,塩基,金属,金属酸化物等が触媒となる複数の反応に活性を示す多機能触媒となり得ることを示すことが出来た。しかし,窒素ドープによってどのような化学構造の活性点が生成しているかは十分には解明出来なかった。今後は窒素ドープ炭素材料を他の化学反応に応用してその有効性を調べるとともに,活性点構造の解明に力を注ぎたい。そのためには活性炭とは異なる炭素を出発材料とするなどの工夫が必要と考ええている。

次年度の研究費の使用計画

-

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 窒素ドープカーボンによるキサンテンの空気酸化2011

    • 著者名/発表者名
      山田克明,藤田進一郎,荒井正彦
    • 学会等名
      第41回石油・石油化学討論会
    • 発表場所
      山口市山口教育会館
    • 年月日
      2011年11月11日

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公開日: 2013-07-10  

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