研究課題
23年度の研究で炭酸ジフェニル(DPC)生成活性のあるPdCl2/AC電極触媒のキャラクタリゼーションおよび作用機構を検討した結果,反応中に活性炭上にPd金属ナノ粒子が生成していることが明らかとなった.本年度は,各種炭表面上にPdナノ粒子を粒子径を制御した材料を合成し,これを用いてフェノールの電解カルボニル化反応を実施し,DPC生成活性との相関を研究した.具体的にはカーボン担体として活性炭の他に,カーボンファイバーVGCF,カーボンブラックXC72,カーボンブラックKB,カーンブラックBP2000を用い,パラジウム担持量を1-20重量%,水素還元温度を100-400℃まで変化させ,様々なPd/C電極触媒を合成した.これら電極触媒のPd粒子径はTEM観察により決定した.これらを用いて1mAの定電流電解カルボニル化反応を行い,DPC生成活性と比較したところ,Pd粒子径と強い相関があることが明らかとなった.DPC生成活性を示すPdは5nm以下であり,特に2nm以下のPd金属粒子が担持された電極触媒が高活性であることを見出した.特に 120℃で低温水素還元した10wt%Pd/KB電極触媒が有効であることを見出した.この Pd/KB電極触媒を用いて,DPC生成反応の反応条件の適切化を行った結果,電流効率80%でDPCを選択合成できることが分かった.23年度の研究ではDPC生成の電流効率は40%であり,大幅な電極触媒作用の改善が達成できた.本研究成果から,より効率的にDPC生成反応を進行させるためには2nmよりも更に小さなPd粒子,つまり原子状のPd金属が有効であることが強く示唆された.今後,飛躍的にDPC生成活性が向上することが期待できる.
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Journal of Physical Chemistry C
巻: 116(19) ページ: 10607-10616
DOI:10.1021/jp300809s