今後の研究の推進方策 |
1)新規合成プロセスの導入による、酸塩基両機能性触媒の創成: 鉄鋼スラグは興味深い特徴ある化学組成を有しており、新規変換プロセスを導入することで、廃棄物からでも有用かつユニークな化学・触媒特性を持った物質を合成できると考えられる。例えば界面活性剤を用いることで、自己組織化を利用したマイクロ・メソ多孔体の創成や高表面積化が図れる。さらに、スラグ中には塩基性元素(Ca, Mg)、酸性元素(Si)、および触媒活性金属元素(Ti, Fe, Mn)が含まれているため、これまでにない新ルートでのケイ酸カルシウム類などの酸塩基両機能性触媒の合成への展開などを行う。 2)金属触媒担体としての利用: スラグから合成されたハイドロタルサイト様化合物は、貴金属触媒の触媒担体としても利用されている。ポストシンセシス的な手法として、合成したハイドロタルサイト様化合物にV, Cu, Pd, Pt, Ru, Auなどの触媒活性金属種をイオン交換的手法もしくはナノ粒子として取り込み、ユニークな反応場を提供する触媒担体としての利用法についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験計画に沿った研究経費を以下に示す。今年度の繰越研究費(183,701円)および次年度の研究費(1,700,000円)については、以下の使用を計画している。 1)鉄鋼スラグを原材料とする新規触媒の調製と反応:消耗品の試料調製用試薬(403,701円)、ガラス器具(300,000円)が必要。 2) 構造解析: 種々の分光手法を用い試料の構造解析をするため、比表面積細孔分布測定装置、元素分析、フォトルミネッセンス, TEM, FE-SEM, Raman, XRD, XPS, XAFS、SQUID, Mössbauer などは、既設であるか借用が可能。XAFS測定は高エネ研(つくば)で行うため国内旅費(100,000円)が必要。試料調製と構造解析には、研究代表者研究室所属の大学院生の実験補助(200,000円)が必要。構造解析に計算機使用(200,000円)が必要。 3)成果発表:上記研究の成果発表として外国旅費(触媒国際会議(ミュンヘン)参加渡航費、環境触媒国際会議(リヨン)参加渡航費)(680,000円)を必要。以上より、物品費(薬品、ガラス器具)703,701円、旅費(外国旅費、国内旅費)780,000円、人件費・謝金(実験補助)200,000円、その他(計算機使用)200,000円を使用する。
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