研究課題/領域番号 |
23656517
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上田 宏 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60232758)
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研究分担者 |
大橋 広行 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (40589454)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 生物・生体工学 / 分析科学 / 蛋白質 / 可視化 / バイオセンサー / 蛍光 / タンパク質間相互作用 |
研究概要 |
本課題は,各種の抗原検出を迅速高感度に行うことができる新規免疫測定原理Quenchbody法の発展を目指したものである。これまで,部位特異的に末端近傍を蛍光ラベルした組換え抗体(一本鎖抗体scFvあるいはFab断片)を作製し,これをサンプルと混合して蛍光強度を測定することで,色素の抗体内在Trp残基によるクエンチとその解除に伴う蛍光強度の増加から各種抗原を高感度に検出できることが分かっている。 そこで今回,検出プローブとして蛍光標識抗体結合タンパク質を用い,これと既存の精製抗体を結合させることでQuenchbody化することを目指した。結合蛋白質としてProtein L (PL)を用い,そのN末端近傍をTAMRAラベルして当研究室でクローン化したリゾチーム認識抗体LxE16のMBP融合VH, VL断片各160 nMと混合しTAMRAの蛍光強度を観察した。結果,抗原添加前に約8%のクエンチが見られ,そこに320 nMの抗原を加えることで2~3%の蛍光量増加が観測され,本原理により抗原検出が可能な事が示唆された。 しかしこの応答は本抗体と類似の抗リゾチーム抗体のscFv型Quenchbodyの最大応答(~40%)には至らないこと,PL結合能は抗体クローンによってまちまちである事等の問題も見受けられたため,次により汎用性の高い他の結合蛋白質としてProtein G (PG)およびProtein A (PA)およびそれらの組み合わせを用いて各種Fab断片に結合するプローブの構築を行った。結果,PAとPGをタンデムに結合したプローブが比較的高いFab結合能を示したため,現在その蛍光活性の評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請内容につき,その原理的成功を示唆する結果が得られた。今後さらに材料・方法の改良を進めることで,実用的なプローブ構築法を確立できると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果の検証を含めてさらに評価を進めていく。さらに最近報告された,PGより強くマウスIgG CH1領域に結合するとされる結合タンパクaffibodyについても今後評価していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定通り,すなわちPA, PG, ならびに他の結合蛋白質とそれらの組み合わせにより,出来るだけ多くの抗体に結合し,蛍光クエンチと抗原依存的脱クエンチ現象を示すプローブの構築を目指す。さらに定量的な抗原結合能評価のため,大腸菌発現系を用いてプローブをより大量に調製する。
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