研究課題
本研究では我々のトランスジェニックニワトリ作成技術を応用して、発育鶏卵の糖鎖を改変することによって新規インフルエンザワクチン生産法を開発することを目指した。ワクチン生産の際にウイルスを増殖させる漿尿膜において、外来遺伝子を発現させる上でアクチンプロモーターが使用可能であるかを検討した。アクチンプロモーター制御下でeGFP発現トランスジェニックニワトリの受精卵を10日間発生させ、eGFPの発現を蛍光顕微鏡で確認したところ、漿尿膜が光っていることが観察された。このことより、アクチンプロモーターを用いて外来遺伝子を漿尿膜で効率よく発現できることが示唆された。高濃度のレトロウイルスベクターを得るために、シアル酸転移酵素発現レトロウイルスベクター生産パッケージング細胞の樹立を行った。GP293 細胞にウイルス溶液を感染させ、限界希釈法によりクローニングを行い、高いタイターのウイルスを生産する株を樹立した。また、漿尿膜細胞にα-ガラクトース転移酵素を発現させることでより効果の高いワクチンとなることが期待できるが、マウスよりクローニングしたα-ガラクトース転移酵素遺伝子についても同様にパッケージング細胞の樹立に成功した。これらは、漿尿膜の糖鎖改変ニワトリ作製へ向けた有用なツールとなることが期待される。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Development, Growth & Differentiation
巻: 55 ページ: 207-216
10.1111/dgd.12032