本研究では、ガン細胞内外の温度差に応答する磁性ナノ粒子を用いたガン細胞イメージング、及びガン細胞特異的殺傷技術の開発に向けて研究を行った。いくつかの金属ナノ粒子に対し、高分子ポリマーの修飾方法について検討した。その結果、ポリマーを溶解する溶媒、修飾する際の温度処理が重要な因子になることを見出した。また、修飾後のポリマーの除去が課題であることも明らかになった。 上記の検討と並行して、ナノ粒子に対してガン細胞特異的ターゲッティング分子を修飾し、ガン細胞にのみナノ粒子がデリバリーされる技術についても検討した。ガン細胞特異的ターゲッティングには生体分子であるタンパク質を用い、それらの活性を失わなずに粒子に固定化する技術についても検討した。評価を容易にするためにモデル系としてポリスチレンビーズを用い、修飾されるタンパク質として酵素及び蛍光タンパク質を用いた。これらを化学修飾法や酵素修飾法などで粒子表面に修飾し、修飾されたタンパク質の活性を評価した。その結果、化学修飾法に比べて酵素修飾法が優れており、また複数種類のタンパク質を固定化することができることを新たに見出した。しかし、その修飾される量に課題があることも明らかになった。この手法を応用して、ガン細胞に特異的に発現しているレセプターやマーカーなどを特異的に認識できる分子を粒子表面に修飾することができると考えられる。
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