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2011 年度 実施状況報告書

CHO細胞における山中因子によるリプログラミング

研究課題

研究課題/領域番号 23656530
研究機関徳島大学

研究代表者

大政 健史  徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00252586)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードCHO細胞 / 山中因子 / リプログラミング
研究概要

山中因子と呼ばれるOct3/4・Sox2・Klf4・c-Mycの因子の導入によって、様々な生体由来体細胞からiPS細胞を作製することが可能となった。これらの因子の導入による細胞のリプログラミング機構は、分化細胞におけるジェネティック機構が多能性を規定する状態に変化するのみならず、エピジェネティックな状態も多様性の状態に復元される。本研究は、蛋白質医薬品生産に多用されているCHO (チャイニーズハムスター卵巣)細胞にこれら因子を導入することにより、蛋白質医薬品生産における応用可能な技術を創成することを目的とする。細胞株に外来蛋白質遺伝子を組み込むと、その直後はその発現レベルが高く維持されているが、この発現レベルは数日で急激に低下し、さらに世代を経るに従って、徐々に発現レベルが低下する。産業応用には、多数の細胞株の中から、できるだけ発現レベルが低下しない細胞株を選択して用いているのが現状であるが、近年、これらの発現レベルの低下原因が、エピジェネティック機構に基づく転写抑制であると考えられている。検討した結果、4因子のうち、すでにSox2・Klf4・c-Mycの3因子に関しては、これらの因子の細胞内における役割を科学的に解明する過程において、単なるコントロールの実験材料としてそれぞれ単独にCHO細胞に導入されて発現株が構築されている。そこで、これまで試されてないOct3/4因子を対象として遺伝子導入を行った。対象とするCHO細胞としてヒトアンチトロンビンIIIを分泌生産するCHO細胞を用い、この細胞に対して一過性発現を行った。その結果、Oct3/4因子発現によって、その細胞増殖、生産性には影響を及ぼさなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

最近の本分野の進歩により、いくつもの遺伝子を同時に入れなくても十分にリプログラミングが可能であるという研究結果が報告されている。実際の外来蛋白質遺伝子導入系における発現変化を検証するためには、かなり長期間の細胞構築と評価が必要とされる。構築した細胞株の増殖速度が想定よりも遅く、発現解析に時間がかかっており、やや遅れている。そこで、4因子を直接同時に入れる技術的困難さを回避するために、一因子で十分な系を用いて、さらにより実際の物質生産系に近い分泌蛋白質を対象に用いてより直截に評価を行い、生産性には影響を及ぼさない結果を得た。

今後の研究の推進方策

外来蛋白質遺伝子導入と発現安定性検証:前年度の検討から、いくつもの遺伝子を同時に入れなくても十分にリプログラミングが可能であるという研究結果が報告されている。実際の外来蛋白質遺伝子導入系における発現変化を検証するためには、かなり長期間の細胞構築と評価が必要とされ、この研究期間内では終了が困難である。そこで、評価系構築の困難さを鑑みて、まずは、Oct3/4因子発現にまずはターゲットを絞って検討する。一過性発現にて検証した結果に基づき、Oct3/4因子恒常発現細胞株を構築し、この細胞株の生産性を長期間培養によって検証することにより、Oct3/4発現の生産性に及ぼす効果、さらにはエピジェニック効果をダイレクトに検証する。

次年度の研究費の使用計画

この年度に必要なのは、前年度の続きの実験を行うための細胞培養用の培地、遺伝子組換えのための制限酵素ならびに遺伝子組換えキットなどの薬品類である。さらに、細胞培養用のプラスチック器具、実験用ガラス器具が必要とされる。この年度以降は既に既存の装置を用いて研究を引き続き行う。特に必要なのは、細胞培養用の培地、遺伝子組換えのための制限酵素ならびに遺伝子組換えキットなどの薬品類である。さらに、細胞培養用のプラスチック器具、実験用ガラス器具が必要とされる。これらの消耗品費はいっそうの研究推進のために、平成23年度以上に必要である。 これに加えて、研究成果の発表(国内、国外)ならびに情報収集にかかる旅費、実験補助、投稿論文英文校閲のための謝金、得られた成果を公開するためのホームページ作成費用や印刷費、投稿料がその他の経費として必要となる。 前年度の繰越額については、繰り越し分の研究計画を実施するための、細胞培養用の培地、遺伝子組換えのための制限酵素ならびに遺伝子組換えキット等の薬品類と、さらに細胞培養用プラスチック器具、実験用ガラス器具、培養用センサー類に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [学会発表] Next Generation Mammalian Host Cell2011

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Omasa
    • 学会等名
      Biotechnica 2011(招待講演)
    • 発表場所
      Hannover, Germany
    • 年月日
      October 12, 2011
  • [学会発表] Next Generation Mammalian Host Cell2011

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Omasa, Masayoshi Onitsuka, and Yihua Cao
    • 学会等名
      Asian Congress on Biotechnology (ACB-2011)(招待講演)
    • 発表場所
      Shanghai,China
    • 年月日
      May 12, 2011
  • [図書] バイオ/抗体医薬品・後続品におけるCMC研究・申請と同等性確保2011

    • 著者名/発表者名
      白井昭博、大政健史
    • 総ページ数
      107-124
    • 出版者
      サイエンス&テクノロジー
  • [図書] バイオ医薬品開発における糖鎖技術2011

    • 著者名/発表者名
      鬼塚 正義、大政 健史
    • 総ページ数
      37-44
    • 出版者
      シーエムシー出版

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公開日: 2013-07-10  

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