平成24年度は、衝撃波管の低圧部に試料気体として量論比の水素―酸素混合気を0.2 MPaで充填し、反射衝撃波背後の高圧の試験気体をオリフィスプレートを介して環状燃焼器に流入させた。このとき、環状燃焼器内を所定の圧力まで減圧させることで、オリフィスプレート前後の圧力比rを変化させた。同時にイニシエータ管より起爆用デトネーション波を入射させ、環状燃焼器内の回転デトネーション伝播の様子を汎用圧力変換器により調べた。 r = 2.5の場合、圧力変換器は環状燃焼器内の起爆を検出したものの、デトネーションは2回程度しか回転しなかった。これは、圧力比が低いために上流からの新気の供給が途絶え、燃焼器内からオリフィスプレート上流側へ逆火したためである。r = 7.5の場合、圧力の立ち上がりの間隔から判断してデトネーションは5回の回転を示した。なお5回という回転数の制限は、オリフィスプレート上流側の圧力は環状燃焼器への混合気流出により徐々に圧力が減少するために起因している。r = 15の場合は、起爆を確認したが回転デトネーションには至らなかった。本実験では、オリフィスプレート前後の圧力比は環状燃焼器内の圧力を減圧することで変化させている。したがって、高圧力比は低い燃焼器内初期圧力を意味することとなる。一般に、気相デトネーションでは初期圧力の減少とともにセルサイズが増大するが、チャンネル内をデトネーションが定常伝播するには、セルサイズの3倍以上のチャンネル高さが必要となる。本実験でr = 15のときには、環状燃焼器の流路高さがセルサイズと約0.8倍となるため、デトネーションの伝播条件を満たさなかったと考えられる。 本実験では、反射衝撃波背後の状態を貯気槽として回転デトネーション成立の可否を調べた結果、試験部と試験気体供給圧力の比7.5において回転デトネーションが起動することがわかった。
|