研究課題/領域番号 |
23656542
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
砂田 茂 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70343415)
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研究分担者 |
橋本 敦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 研究員 (30462899)
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キーワード | マイクロエアービークル / 風擾乱 / 低アスペクト比翼 / コラゲーション |
研究概要 |
スプリット翼(国際会議での指摘により、スペース翼をスプリット翼に改めた)は、風擾乱に強い小型飛行機を目指し提案したものである。風擾乱に強い翼が持つ共通の特徴を明らかにするために、スプリット翼以外の方法として、以下の2つの検討を開始した。1つは、翼にコラゲーション(昆虫の翼断面が持つ「ギザギザ」)を付加することによる突風遭遇時の機体姿勢角変動の抑制の検討、もう1つは突風遭遇時の空気力変化が小さい平面形の検討である。前者については、風洞実験やCFD解析によって、コラゲーションの形状変化によってピッチングモーメント、すなわち機体のピッチ角のコントロールが可能であることが分かった。後者については、様々な平面形を有する固定翼が渦に遭遇した際の空気力の変化を風洞実験で測定した。実験手法は確立したが、まとまった結論を得られていないので、今後も実験を継続する。また、本実験の研究対象を固定翼から羽ばたき翼にも広げ、渦に遭遇した際の空気力の変化を固定翼と羽ばたき翼とで比較した。この実験も継続し、風擾乱に強い航空機コンフィギュレーションについて検討する。これまでの研究結果は、飛行機を風擾乱に強くすることと飛行効率を高めることが矛盾する要求であることを示している。これからの研究遂行において意識する重要な知見であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CFDによるスプリット翼の性能評価精度は向上しなかった。しかし、小型飛行機を風擾乱に強くするための別の手法の研究、すなわち翼に付加したコラゲーションの効果の検討、突風にロバストな平面形の研究を開始した。前者については、コラゲーションによるピッチングモーメントのコントロールについて一定の成果を得ることができた。後者については、実験手法を確立することができた。これまでの研究結果から、飛行機を風擾乱に強くすることと飛行効率を高めることは矛盾する要求であるという知見を得ている。この様にスプリット翼の検討だけでなく、飛行機を広く風擾乱に強くするための幅広い研究が進んでおり、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に開始した2つのテーマ、小型飛行機を風擾乱に強くするための翼のコラゲーションの効果の検討、突風にロバストな平面形の検討を中心に進める。前者については、風洞実験、CFD解析により、翼にコラゲーションを付加することによる飛行機を風擾乱に強くする手法の検討、及びそのメカニズムの解明を行う。後者については、外部組織の突風風洞を借用し、様々な平面形翼が突風に遭遇した際の空気力の変化を測定し、突風にロバストな翼平面形を模索する。さらに、固定翼と同一の揚力を発生する羽ばたき翼についても同様の測定を行い、突風遭遇時の固定翼と羽ばたき翼の揚力変化について比較を行い、突風にロバストな航空機形態について考察する。 スプリット翼は、小型飛行機を風擾乱に強くすることをねらった翼である。上記の様に、研究対象を風擾乱の飛行機への影響の低減に広げ、スプリット翼に限らず小型飛行機を風擾乱に強くする手法を広く模索する予定である。効果的な手法を組み合わせることで、飛行機の風擾乱に対するロバスト性を格段に高めることが期待できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
2つの風洞を使用し研究を進める予定である。1つは阪大の風洞で借用費が必要である。もう1つは宇宙航空研究開発機構の平成25年4月に建設した突風風洞であるが、東京調布までの旅費、宿泊費が必要である。また、会議参加費、論文印刷代費用が必要である。
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