研究課題
数Torrの低圧環境で超音速プラズマジェットを噴射させると、プラズマ内部の化学反応が凍結し、化学非平衡・温度非平衡状態の非常に活性な状態が実現できる。この高速プラズマ流を用いると、活性なプラズマ状態を下流域の基板まで維持することが可能である。これまで低圧環境下で作動ガスに窒素、窒素・水素混合ガス、アンモニアを用いた超音速プラズマジェットの診断測定、それを用いた窒化処理を行ってきた。低い基板温度、短い処理時間で良好な窒化特性が得られた。本研究では、さらにこの極度の熱力学的非平衡状態にある超音速プラズマジェットを溶射に用いることを考えた。本研究で用いた10kW級超音速プラズマジェット発生装置は銅製の陽極と2%酸化トリウム入りタングステン製の中空陰極及び両電極を絶縁するテフロンとボロンナイトライド製の絶縁材から構成されている。チタンパウダーは陰極先端の穴から供給される(パウダー供給速度0.16g/min, パウダー直径45um以下, アルゴンキャリアガス流量5slm)。本実験では作動ガスとしてアルゴンと窒素の混合ガスを用い、アルゴンガス流量は30slm, 窒素ガス流量は15, 20slmとした。放電電流は80から120Aである。プラズマジェット装置作動中の減圧タンク内の圧力は3Torr程度に維持された。基板にはSUS304を用い、溶射距離は100mm、溶射時間は2分である。溶射中、基板の温度は最大700 Kまで上昇した。典型的な溶射条件の場合、非常に緻密な皮膜が形成されており、その組織はTiNが支配的であることがわかった。皮膜のビッカース硬度の特性より、窒素ガスの流量と放電電流を変化させることにより、投入電力が大きく変化する。最も硬い皮膜が投入電力最大の5.3kWのとき得られた。投入電力の増加により、基板温度の上昇とプラズマの活性状態が高められたためと推測される。
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Frontier of Applied Plasma Technology
巻: Vol.6, No.2 ページ: 45-50
33rd International Electric Propulsion Conference (33rd IEPC), George Washington University, Washington, D.C., USA
巻: IEPC-2013-095 ページ: 1-10
http://www.oit.ac.jp/med/~tahara/jp/index-j.html