1.メカノクロミズム金属錯体と塗布剤を混合し,宇宙ステーションのWhipple bumperを模擬した二枚組アルミ板の二枚目内側に塗る.2段式軽ガス銃を用いて,スペースデブリ衝突を模擬した超高速衝突実験を行い,貫通穴の周りが長い間発光するか検証した.二枚目バンパーに小さな穴やスポーリングが生じる程度の衝突構成を事前の見積り通りの実験が行われた. 2.超高速衝突で剥離しない塗布剤の選定を進めた.超高速衝突実験に於いて,剥離の少ない最適な塗布剤を決定できた.この知見は粉末のメカノクロミズム金属錯体をバンパーに保持する為に,非常に有益な情報である.衝突箇所近傍では急激な衝撃波生成により剥がれたが,周辺物質は一緒に剥がれることなく,物質がバンパーに残存していることが確認された.当初の予定通りにメカノクロミズム金属錯体をアルミ板に塗布させることが出来ることを実証した. 3.2段式軽ガス銃を用いて,スペースデブリ衝突を模擬した超高速衝突実験を行った同一バンパーの表裏を検証した.バンパー表面の衝突痕の領域と,裏面の金属錯体の剥落領域はほぼ一致していることが複数回の超高速実験で確認された. 4.バンパーを用いて,Fe錯体とEu錯体の両方の金属錯体の発光・発色実験も行った.分光装置を用いて,衝突前後でFe錯体とEu錯体のメカノクロミズム金属錯体の発光スペクトルが有意に変化していることを確認した.超高速衝突による金属錯体の発光スペクトルの変化は,今回得られた研究の大きな研究結果の一つである.
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