研究課題/領域番号 |
23656554
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
有馬 正和 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70264801)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ヒューマン・モニタリングシステム / MEMS / 心拍変動性指標 / 表情 |
研究概要 |
本研究の最終目的は,心電図などの生理的反応および顔の表情から乗組員の体調や集中力低下などを判断して警告を発したり,乗客の乗り心地を客観的に捉えて,安全・安心・快適な海上交通機関の実現を目指すものである。本研究では,非侵襲的な生理計測が実現できる表情,心電図,呼吸に着目し,ストレス状態を定量的に推定・評価することのできる「ヒューマン・モニタリングシステム」の構築を試みる。近年のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって生理計測装置の超小型化が実現し,被験者に与える負荷が極めて小さくなってきている。本研究では,兵庫県立大学大学院工学研究科 前中一介教授の協力を得て,小型生理計測装置を研究開発することができた。また,心拍変動性指標の解析ソフトウェアを作成した。本装置を用いて,大阪府立大学・植物工場研究センターのユニバーサルデザイン室にて車いす使用者の心電図を計測して解析・評価した結果,体の動きによるノイズの影響は小さく,作成したソフトウェアによってノイズ除去ができることを確認することができた。また,神戸大学海事科学研究科の附属練習船「深江丸」の乗組員の協力を得て,一等航海士の実務作業中の心電図を計測して解析・評価した結果,心拍変動性指標から作業中の緊張状態やリラックス状態を推定することが可能であることを明らかにし,本システムの妥当性・有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒューマン・モニタリングシステムの構築において最も難しいハードウェアの製作では,兵庫県立大学の前中一介教授の協力を得ることができ,小型の生理計測装置を開発することができた。また,心電図の解析ソフトウェアを作成して,実際に船舶乗組員の生理的反応を計測・解析・評価することができ,研究計画以上の成果を上げることができた。しかしながら,表情の解析については,新しく発売されたネットワークカメラの性能調査などを行い,自律型ロボットとしての表情モニタリング装置の構想を得るに至ったものの,実験を行うことができなかったので。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は,研究計画時と変更はない。被験者の負担をできるだけ軽減することのできる「in-situ型ヒューマン・モニタリングシステム」の完成に向けて,心電図をはじめとする生理的反応の計測・解析・評価システムと表情を計測・解析・評価するためのシステムの統合を目指して研究開発を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
in-situ型ヒューマン・モニタリングシステムの妥当性・有効性を検証するための実験および研究成果の発表のための旅費・学会参加費などに支出を予定している。
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