研究課題/領域番号 |
23656554
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
有馬 正和 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70264801)
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キーワード | ヒューマン・モニタリングシステム / 自律型表情モニタリングシステム / ネットワークカメラ / KINECTセンサー / MEMS / 心拍変動性指標 |
研究概要 |
本研究の最終目的は,心電図などの生理的反応および顔の表情から乗組員の体調や集中力低下などを判断して警告を発したり,乗客の乗り心地を客観的に捉えて,安全・安心・快適な海上交通機関の実現を目指すものである。 本研究では,非侵襲的な生理計測が実現できる表情,心電図,呼吸に着目し,ストレス状態を定量的に推定・評価することのできる「ヒューマン・モニタリングシステム」の構築を試みる。 本年度は,自律型表情モニタリングシステムの構築を試みた。本システムは,複数台のネットワークカメラと赤外線カメラ(Microsoft社 KINECTセンサー)から構成され,被験者の顔の3次元座標を認識してカメラの向きを追従させることができる。また,顔の表情を左右から撮影することでステレオ画像を得ることができ,後方のカメラからは周囲の状況を把握できるようにしている。本システムを用いて,大阪府立大学・植物工場研究センターのユニバーサルデザイン室にて車いす使用者の表情モニタリングを行い,その有効性を確認することができた。また,神戸大学海事科学研究科の附属練習船「深江丸」の乗組員の協力を得て,航海士の実務作業中の表情をモニタリングした結果,航海士が航海船橋の中を動き回っても表情を正しく追従できることを確認するとともに,実用可能性を実証することができた。 昨年度開発したMEMS技術による小型生理計測装置を併せて,被験者の生理的・心理的状態の把握に有効な手段を確立することができたので,次年度は,これらのモニタリングシステムを統合するソフトウェアの開発を目指したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,3次元表情モニタリングの実現に向けてシステムの構築を行った。市販のネットワークカメラおよび赤外線センサーを導入することで,容易に実用化が可能となるシステムを構築することができた。しかも,植物工場などで仕事に従事する車いす使用者や,船舶の航海士は,バスや鉄道,航空機の運転手・パイロットのように着座して常に前を向いているわけではないので,表情をモニタリングすることは,公共交通機関の中でも特に難しいが,実船での実験の結果,本研究で開発した自律型表情モニタリングシステムの有効性を確認することができたので。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は,研究計画時と変更はない。被験者の負担をできるだけ軽減することのできる「in-situ型ヒューマン・モニタリングシステム」の完成に向けて,心電図をはじめとする生理的反応の計測・解析・評価システムと表情を計測・解析・評価するためのシステムの統合を目指して研究開発を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
in-situ型ヒューマン・モニタリングシステムの妥当性・有効性を検証するための実験および研究成果を積極的に発表するための旅費・学会参加費に支出することを予定している。
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