研究概要 |
ミュオグラフィーは最近、田中ほかがマグマのイメージングに成功したことから、わが国発という点に加えて、地下探査分野に全く新しい手法を提供する可能性を秘めている。しかし、それが地下探査分野に広く普及するためには、マグマだけでなく、密度差の点でも、サイズの点でも、もう一段の困難を伴う断裂系を対象とする必要があり、本研究は地熱分野において、この可能性を検討することを狙った。ところが、本研究を進める過程で、同じ発想の研究はすでに、田中ほか自身が進めており、断裂中の水の移動という質量移動を利用して、実用化に肉薄していることが判明した。そのため、本研究では青森県の八甲田山地域や沖浦地域において、仰角観測という制約をもつ、ミュオグラフィーのモデルフィールド発掘の検討を進めるとともに、田中ほかが構想中の多様な地下資源分野を意識した新しいミュオグラフィーに関して、地熱分野における坑井利用のミュオグラフィーの可能性を研究するとともに、組織的な共同研究体制づくりを実現することができた(村岡ほか,2012;Tanaka and Muraoka, 2012)。[引用文献]村岡・井岡・田中(2012)宇宙船ミュオンによる断裂地熱貯留層の動的モニタリング手法の可能性.日本地熱学会平成24年学術講演会講演要旨集,p.B31.Tanaka and Muraoka (2013) Interpreting muon radiographic data in a fault zone: possible application to geothermal reservoir detection and monitoring. Geoscientific Instrumentation, Methods and Data Systems, 2, 145-150, doi:10.5194/gi-2-145-2013.
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