研究課題/領域番号 |
23656565
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大場 武 東海大学, 理学部, 教授 (60203915)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | リモートセンシング / 火口湖 |
研究概要 |
活火山の火口に形成される火口湖は活動的火口湖と呼ばれ,その特徴的な色彩から,阿蘇山,草津白根山などでは観光資源となっている.しかし,活動的火口湖では前兆的な地震活動を伴わずに水蒸気爆発が発生し人的被害が発生する危険性がある.水蒸気爆発は熱水溜りの爆発でありマグマの移動を伴わずに発生するので,かならずしも前兆的な地震活動を伴わないと考えられている.一方で,爆発の駆動力である熱水溜りに存在する流体の一部は火口湖水に流入するので,爆発時に熱水の化学組成が変化するなら,火口湖水の化学組成をモニタリングすることにより,水蒸気爆発の予知につながる可能性が開かれる.火口湖水の化学的な情報を得るには,火口湖水を採取して化学分析することが最も信頼性の高い方法であるが,火口湖は接近が困難な場合が多く採取に危険を伴い,特に噴火が切迫した場合に直接採取は断念せざろう得ないだろう.つまり直接的な採取にたよる方法では,化学的観測による噴火予知に本質的な限界が伴う.本研究では,火口湖に遠隔地点からレーザー光を照射し,後方散乱するラマン光を観測することにより,火口湖水の化学的な情報を取得し,火山噴火予知の可能性を化学的な手法で拡大することを目的としている.今年度は,観測に必要な装置の部品を選定・購入し組み立て,基本的な性能を確認した.具体的には,小型分光器の部品とカセグレン式望遠鏡を購入した.申請時には,励起光としてパルスレーザーの購入を予定していたが,交付額の削減をうけて断念した.ラマン光励起に用いるレーザーは既存設備の連続発振式のグリーンレーザーを使い,光学チョッパーでパルス化するように研究の内容を変更した.分光器に付属していた光学チョッパーはコリメーションレンズを内蔵し,開口部の大きさが不十分であったため,レンズを外し,開口部を拡大する工作を施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パルス式レーザーの購入ができなかったが,既存の連続発振レーザーと光学チョッパーを組み合わせ,当初予定していた装置の機能を実現することに成功した.
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今後の研究の推進方策 |
基本的な装置の機能は確保されたので,実際に遠隔的に水溶液の化学的情報を取得できるか実験を重ねる.次年度使用の研究費が発生したのは,予算の制限によりパルス発振レーザーの購入ができなかったためである.
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次年度の研究費の使用計画 |
装置を野外に持ち運ぶための筐体の製作と,現地調査のための旅費などに研究費を使う予定である.既存の連続発振のレーザーはパルス発振レーザーよりも出力が劣るので,検出器の感度向上や集光力の向上などの方策に研究費を利用することも検討する.
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