研究概要 |
23年度の成果を踏まえ、24年度は水中における有機物質の液滴分散はホーン型振動子から20kHzの超音波を試料に直接照射し、液滴の凝集は平板型振動子から5MHzの定在波の超音波をガラス容器内のエマルションに間接照射して実施した。 まず、エマルションの凝集で用いるガラス容器の最適化を行い、内径が15mm、振動子からの距離が30mmで、5°に傾けることによって凝集時間が最短となった。これは、超音波が容器全体に照射され、かつ、傾けることによって音響ストリーミングによる油滴の再分散を防ぐ効果があることが音響シミュレーションから明らかとなった。5種類(1,2-ジブロモエタン、ブロモベンゼン、p-ブロモベンゼン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム)の有機物質を検討した結果、クロロホルムの液滴が最も凝集しやすかった。これは、油滴のゼータ電位が0に近く、静電的に不安定であるためである。さらに、pHが低いほど、油滴のゼータ電位が0に近づくため、凝集時間が短くなった。 レアメタルにガリウム、金属抽出剤には8-キノリノールを用いて、水相から有機相へのガリウム抽出実験を行った。pHが5-7のとき抽出率がほぼ100%となった。また、撹拌・静置操作と比較したところ、本操作は抽出時間の大幅削減に有効であることが実証された。これは、20kHzの超音波照射により撹拌よりの液滴が微細化さることと、5MHzの超音波照射によって、第1次ビヨクネス力が働き、静置よりも液滴凝集が促進されるためであることが明らかとなった。 本研究によりで水中のガリウムの抽出が、クロロホルムを有機溶媒として、20kHzの超音波の分散効果と5MHzの凝集効果を利用することによってによって、効率化できた。
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