研究課題/領域番号 |
23656570
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 元 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40336003)
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研究分担者 |
松隈 洋介 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70282241)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 電気化学 / 化学プロセス / 地球温暖化ガス排出削減 / 環境技術 |
研究概要 |
従来の二酸化炭素回収処理技術は投入熱エネルギーが非常に大きく、化石燃料の燃焼エネルギーの15~20%に相当し実用化への妨げとなっている。そこで経済性に優れ高効率な二酸化炭素回収処理技術の開発を目指し、中間脱塩室型電気透析技術を応用して吸収液と放散液を同時生成し、さらに吸収・放散工程と一体化した新たなプロセスを考案した.本研究はその可能性を探るために、実験室スケールでのテストセルを試作し、溶解吸収速度測定や電気分解安定性、本システムにおける物質輸送律速、反応律速の把握、本技術の問題点の抽出などの基礎評価実験を行う。また最適操作条件や最適セル構造に関しても評価を行う。平成23年度は吸収液の二酸化炭素溶解吸収速度測定を行い、また本プロセスで生成する吸収液組成と操作条件の相関を検証した。吸収時・放散時のTCO3(総炭酸塩)の差より、電気透析による過電圧を無視した場合に、目標所要エネルギー(1000 kJ/kgCO2)以下に出来る可能性があることがわかった。次にK2CO3やKHCO3などのカリウム炭酸塩を電気透析により濃縮し、種々の条件で膜間電圧、濃縮速度、電力損失を測定した。本プロセスでは電解質膜内部のイオン輸送抵抗に由来する過電圧が極めて大きく、目標所要エネルギーを達成するには、高イオン伝導性を有する新規電解質膜の開発や薄膜化がポイントになることを確認した。これを踏まえ来年度は各種電解質膜の影響について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施予定であった、電気透析法を用いた吸収液の生成および二酸化炭素溶解吸収速度測定、テスト電解セルの安定性確認および電解過電圧と液組成の評価を、順調に行うことができ、本プロセスの課題抽出を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に沿って進めていく。なお当初見込んでいたよりもイオン輸送抵抗に由来する過電圧が大きく、この低減が重要であることを確認し、今後はこの解決に繋がる材料や構造の工夫も進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度と同様、電解評価に必要なセル部材や試薬を購入する。また本研究は萌芽研究であり、初年度に研究成果を外部発表するには至らなかったが、今後はデータの蓄積分析を進め、対外発表を積極的に行う予定である。
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