従来の二酸化炭素回収処理技術は投入熱エネルギーが非常に大きく、化石燃料の燃焼エネルギーの15~20%に相当し実用化への妨げとなっている。そこで経済性に優れ高効率な二酸化炭素回収処理技術の開発を目指し、中間脱塩室型電気透析技術を応用して吸収液と放 散液を同時生成し、さらに吸収・放散工程と一体化した新たなプロセスを考案した.本研究はその可能性を探るために、実験室スケールでのテストセルを試作し、溶解吸収速度測定や電気分解安定性、本システムにおける物質輸送律速、反応律速の把握、本技術の問題 点の抽出などの基礎評価実験を行う。また最適操作条件や最適セル構造に関しても評価を行う。平成24年度はK2CO3やKHCO3などのカリウムの炭酸塩を電気透析により濃縮し、出力電圧、出力電流、膜間電圧、濃度の経時変化を測定した。塩の濃度の測定は導電率計にて導電率を測定することにより求めた。炭酸イオンを濃縮する場合、膜抵抗によるエネルギーロスは電気透析にかかるエネルギーの20倍以上になることが分かり、最小の所要エネルギーは1342kJ/kgCO2となり、目標の1000kJ/kgCO2を上回る結果となった。実機において目標の所要エネルギーを達成するためには膜抵抗を現在の1/20にまで低減する必要があると考えられ、そのためには現在130μm厚のイオン交換膜の更なる薄膜化やHCO3-伝導の選択性向上が必要であることがわかった。
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