研究課題/領域番号 |
23656572
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
佐野 慶一郎 関東学院大学, 人間環境学部, 教授 (30372105)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 環境技術 / 廃棄物再資源化 / 触媒・化学プロセス / バイオマス / 植物 |
研究概要 |
1.廃棄プラスチックの熱分解に適した植物油の調査と実験研究 初年度の研究内容は、研究全体(3年)の基盤テーマであり、廃棄プラスチック・リサイクルのキー・テクノロジーとなるものである。廃棄プラスチックの分解性に優れる植物油を論理的に解明し、リサイクル化に用いる植物油の種類を決定した。(1)本研究では、先ず、様々な植物から得られる植物油の種類、および各種の植物油が含んでいる脂肪酸の種類とそれら分量を文献から調査した。それら調査結果より、含有脂肪酸の種類や化学構造の形から植物油の種類を系統立てて分類した。系統(特性)が異なる代表的な7種の植物油として、(1)ジャトロファ油、(2)ヤシ油、(3)パーム油、(4)ナタネ油、(5)大豆油、(6)中鎖脂肪酸酸(ココナッツ油とパーム油)、(7)混合油((ナタネ油と中鎖脂肪))を研究協力先の日清オイリオグル―プ株式会社から入手した。(2)大気下の植物油中での廃棄プラスチックの分解実験に必要な化学器具を準備した。(3)次いで、入手した様々な植物油、ジャトロファ油やヤシ油などを溶媒として用いた廃棄プラスチックの加熱反応実験を行った。本実験では、あえて分解が困難な不飽和ポリエステル樹脂を供試材として用いた。廃棄プラスチックの分解性の向上に寄与する重要な因子(植物油の種類や脂肪酸の種類、それら配合比、植物油の温度)を実験にて確認し、明確化(グラフ化)した。 さらに、その理由を論理的に考察した。入手した植物油に含まれるラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などの分量に注目して、廃棄プラスチックの分解性への影響を考察した結果、植物油に含まれる脂肪酸の炭素数が少ない方が廃棄プラスチックとの相溶性が高いため、プラスチックの分解速度が高くなることが分かった。なお、脂肪酸中の二重結合の分量は、プラスチックの分解性にさほど影響していないように見受けれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおり、供試材の入手と実験器具の準備を行い、計画どおりの実験を実施した。実験結果より、廃棄プラスチックの分解性に影響する植物油の含有脂肪酸の種類や化学構造の形を考察することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は順調に進展している。しかしながら、不飽和ポリエステル樹脂の分解性は、植物油の高い温度に依存していた。従って、植物油の種類による廃棄プラスチックの分解性をより明確にするためには、現状よりも低い温度で廃棄プラスチックを分解するための触媒の検討も今後の課題となった。
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次年度の研究費の使用計画 |
廃棄プラスチックの分解性に優れる植物油の調合をして、その検証実験を行う。先の実験を行うべく、供試材と実験器具を入手する。また、供試材の調査や学会参加のための旅費、および本研究の調査やデータ解析等の人件費を計画している。本年度、プラスチック試料の試供品を入手し、植物油を安価に購入できたため、支出が176,107円低く抑えられた。これを次年度使用額とし、今後の実験効率を高めるため、物品費(実験器具)の追加購入を計画している。
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