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2011 年度 実施状況報告書

イオンビーム解析によるプラズマ照射環境下での水素同位体動的吸蔵量のその場計測

研究課題

研究課題/領域番号 23656573
研究機関名古屋大学

研究代表者

大野 哲靖  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60203890)

研究分担者 松波 紀明  名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (70109304)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード核融合 / プラズマ / 水素吸蔵量 / イオンビーム解析装置 / ダイバータプラズマ / 炭素 / タングステン
研究概要

環状磁場閉じ込め核融合において、装置の内壁及び構造材料での水素同位体挙動を把握してその動的挙動を予測することが重要である。そのため実機環境下を模擬可能なプラズマ照射装置とイオンビーム解析(NRA,RBS,ERD)装置が一体となった、その場計測が可能な新装置の開発を行った。プラズマ生成部とイオンビーム源・解析用半導体検出器の間で差動排気を行うことにより、プラズマ照射中でもイオンビーム源・解析用半導体検出器を高真空で動作させることが可能になり、プラズマ照射環境下でのターゲット試料のイオンビーム解析(NRA,RBS)を行うことに成功した。タングステンへ重水素プラズマを照射しながら核反応分析法(NRA)計測を行うことで、重水素の動的リテンション量を実験的に計測することが可能となった。 装置に蓄積されたトリチウムの除去手段の一つとして考えられている水素同位体による置換反応に関する実験も実施した。等方性黒鉛(ETP-10: IBIDEN CO., LTD)に重水素プラズマを照射し重水素を吸蔵させた後、真空中に放置しその後水素、ヘリウムプラズマを照射し、吸蔵量の変化を計測した。水素プラズマ照射では照射と同時に急激に重水素吸蔵量が減少した。ヘリウムプラズマ照射においては、多少の重水素吸蔵量の減少は見られたものの、水素照射のように吸蔵量がほぼ0となることはなかった。本実験結果は、水素同位体置換の効果による重水素吸蔵量の減少を示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ダイバータプラズマ模擬試験研究で開発された小型高密度直流プラズマ源とバンデグラフ加速器を用いたイオンビーム解析装置を結合した装置を開発し,これまで不可能であったプラズマ照射環境下および直後の水素リテンション量のその場計測を可能としたこと。また、炭素材料中の重水素-軽水素置換のダイナミクスを実験的に明らかにしたことなど、当初の予定通り順調に研究が推移していると判断した。

今後の研究の推進方策

(1)炭素材中の動的リテンション量のイオン粒子束依存性 等方性黒鉛ならびにCFC (carbon fiber composite)材を重水素プラズマに照射し,照射中の重水素吸蔵量をNRAで調べる。この時直流放電電流によりプラズマ密度を制御し,入射重水素イオン粒子束を変化させ,さらに空冷ターゲットにより温度を一定に制御し、重水素イオン粒子束と重水素吸蔵量との関係を明らかにする。(2)ヘリウム(ネオン)照射による壁コンディショニング模擬実験 重水素プラズマを予照射後,ヘリウム(ネオン)プラズマを一定時間照射し,重水素吸蔵の変化を調べる。プラズマ照射量を変化させて同様の実験を行い,ヘリウム(ネオン)プラズマ照射による重水素リテンション変化を明らかにする。さらに金属ターゲットのバイアス電圧を変化させ,重水素吸蔵の変化のネオンイオンエネルギー依存性についても調べる。(3)ヘリウムバブル形成が金属材料中の重水素吸蔵特性に与える影響 金属ターゲット(SUS316,タングステン)にヘリウムプラズマを予照射し,ナノサイズのヘリウムバブルを表面付近に形成する。その後重水素プラズマを照射し重水素吸蔵量を調べ,ヘリウムプラズマ未照射試料の重水素吸蔵量と比較し,ヘリウムバブル形成が重水素吸蔵に与える影響について明らかにする。また重水素プラズマ照射後にヘリウムプラズマを照射しヘリウムバブルを形成し,その後重水素吸蔵量の経時変化を計測し,ヘリウムバブルが重水素吸蔵の経時変化に与える影響も調べる。ヘリウム‐水素プラズマの同時照射に関しての実験も試みる。

次年度の研究費の使用計画

直接経費物品費 1,011,304 円 内訳(SSD半導体検出器、照射材料(炭素、タングステン)、LaB6陰極材料、真空保守部品)旅費 200,000円人件費・謝金 193,280円

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] In situ measurement of hydrogen isotope retention using a high heat flux plasma generator with ion beam analysis2011

    • 著者名/発表者名
      M. Yamagiwa, Y. Nakamura, N. Matsunami, N. Ohno, S. Kajita, M. Takagi, M. Tokitani, S. Masuzaki, A. Sagara and K. Nishimura
    • 雑誌名

      Physica Scripta

      巻: T145 ページ: 010432

    • 査読あり
  • [学会発表] Evaluation of deuterium dynamics in materials with device of Plasma Surface dynamics with Ion Beam Analysis (PS-DIBA)2011

    • 著者名/発表者名
      M. Yamagiwa, Y. Nakamura, N. Matsunami, M. Takagi, N. Ohno, S. Kajita, M. Tokitani, S. Masuzaki, A. Sagara
    • 学会等名
      Plasma Conference 2011
    • 発表場所
      Kanazawa
    • 年月日
      2011 – 1125
  • [学会発表] Study of Hydrogen Isotopes Behavior in Graphite with PS-DIBA Device2011

    • 著者名/発表者名
      Y. Nakamura, M. Yamagiwa, N. Matsunami, N. Ohno, M. Takagi, S. Kajita, M. Tokitani and S. Masuzaki
    • 学会等名
      Plasma Conference 2011
    • 発表場所
      Kanazawa
    • 年月日
      2011 – 1124

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公開日: 2013-07-10  

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