研究課題/領域番号 |
23656575
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
片山 一成 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (90380708)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 核融合炉 / トリチウム化メタン / プラズマ分解 |
研究概要 |
核融合炉の排出ガス中には10%程度の不純物(ヘリウム、炭化水素、水蒸気、軽水素など)が含まれる。そのため、排出ガス処理システムにより水素同位体燃料を迅速に回収し、滞ることなく連続的に再びプラズマ中に投入しなければならない。本研究では、プラズマ分解を利用して炭化水素や水蒸気に含まれるトリチウムを分離回収する新しい手法の開発を目指しており、初年度はトリチウム化メタンのプラズマ分解挙動に注目して研究を進めた。具体的には、トリチウム実験システムの整備とトリチウム化メタンのプラズマ分解試験を実施した。 実験試料ガスとして用いるトリチウム化メタンは、HT・HTO混合ガスとCH4との同位体交換反応により生成することに成功した。プラズマ出口ガス中のトリチウム化学形は、水バブラー、酸化銅塔、触媒塔を組み合わせることで、水蒸気状 分子状, 炭化水素状トリチウムに弁別して定量するシステムを構築した。 導入ガス流量をパラメータとしてトリチウム化メタン分解試験を実施したところ、ガス流量が小さい条件、すなわちプラズマ中でのガス平均滞留時間が長い条件の方が分解率が増加することが確認された。しかしながら、その値はトリチウムを含まないCH4に比べて1/5程度と低いことがわかった。真空ポンプ出口でのトリチウム濃度を電離箱にて連続モニタリングしたところ、プラズマ点火とともにトリチウム濃度が減少することが明らかとなり、プラズマ容器内にトリチウムが蓄積していることがわかった。トリチウムの効率的な回収にはトリチウム蓄積を抑制するための対策が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トリチウム化メタンの生成手法やトリチウムの化学形弁別測定手法の構築に当初予想よりも時間を要したことから、トリチウム化メタンを用いた実験は実施できたものの、トリチウム化水蒸気の実験まで至らなかった。しかしながら、トリチウム化メタンを用いて実験手法が確立できたため、トリチウム化水蒸気の実験は次年度効率的に実施することができると考えられ、研究計画全体としては当初目標を達成できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、実験システムが構築できたため今後は各種実験を加速して実施する。プラズマ容器内壁温度を上げて分子状トリチウムの生成効率の向上を確認したのち、Pd-Agをプラズマ中に導入して、分子状トリチウムの連続回収を試みる。また、プラズマ生成のための印加電力を変化させることで静電ポテンシャル変化とトリチウム抽出率を定量評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
トリチウム化メタンを用いた実験手法の確立を優先したため、本年度中に実施予定であったトリチウム化水蒸気を用いた実験を遂行できなかった。そのため、トリチウム化水蒸気実験に要する経費「222,822円」が次年度繰越金として発生した。本年度は、トリチウム化水蒸気実験、及びトリチウム化メタンとトリチウム化水蒸気共存下でのトリチウム抽出実験に必要なガス類や配管部品及びPd-Ag管等の消耗品を購入する。また研究費の一部は、成果報告の為の学会参加登録費や旅費として使用する。
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