研究課題
核融合炉の排出ガス中には10%程度の不純物(ヘリウム、炭化水素など)が含まれる。そのため、排出ガス処理システムにより水素同位体燃料を迅速に回収し、滞ることなく連続的に再びプラズマ中に投入しなければならない。本研究では、プラズマ分解を利用して炭化水素や水蒸気に含まれるトリチウムを分離回収する新しい手法の開発を目指しており、具体的にはトリチウム実験システムの整備とトリチウム化メタンのヘリウムプラズマ中での分解試験を実施した。メタンのプラズマ分解に関する実験は過去にも数多く報告されているが、実際にトリチウム化メタンを用いた研究報告は少なく、貴重な成果が得られたと考えている。実験試料ガスとして用いるトリチウム化メタンは、触媒を利用したHTとCH4の同位体交換反応により生成することに成功した。プラズマ出口ガス中のトリチウム化学形については、水バブラー、酸化銅塔、触媒塔を組み合わせることで、水蒸気状 分子状, 炭化水素状トリチウムに弁別して定量するシステムの構築に成功した。ガス流量をパラメータとして、トリチウム化メタン分解試験を行ったところ、プラズマ中でのガス平均滞留時間が長い方が分解率は増加することが確認された。しかしながら、その値はトリチウムを含まないCH4に比べて1/5程度と低いことがわかった。真空ポンプ出口でのトリチウム濃度を電離箱にて連続モニタリングしたところ、プラズマ点火とともにトリチウム濃度が減少することが明らかとなり、プラズマ容器内にトリチウムが蓄積していることがわかった。最終年度に、より詳細に分解率の流量依存性を調べたところ下に凸の依存性が見られた。トリチウム化メタンの分解反応と、壁面に析出した炭素と生成水素によるメタンの生成反応が競合した結果このような依存性が見られるのではないかと推察している。今後分解装置内でのメタン生成反応についても解析を進める予定である。
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Journal of Nuclear Materials
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10.1016/j.jnucmat.2013.01.220