磁場閉じ込め型核融合装置真空容器内においてプラズマ対向機器材料が、どこにどのように堆積するのかを理解し、将来の核融合炉において燃料粒子蓄積や不純物発生に関わる堆積層形成を予測できるモデルを構築することは核融合炉の実現において重要である。本研究ではそのために、堆積層形成の方向性に注目し、「方向性マテリアルプローブ(DMP)」を核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)及び九州大学の球状トカマク型装置QUESTの真空容器内に設置してデータを収集してきた。25年度はこれまでに得られたDMPデータの分析を行った。 LHDについては、複数のDMPデータを分析し、堆積物飛来方向マップを得た。DMPの位置では飛来方向は磁力線方向とは一致せず、堆積物の輸送はプラズマ流ではなく発生源からの直接飛来であることが示唆された。エネルギー分散型X線分析(EDX)によるDMP表面の組成分布分析を行った。主な堆積物である炭素と鉄の堆積が異なる方向性を持つ場合があり、それらが異なる輸送で堆積したことが示唆された。DMPは目視観測で主たる堆積物の飛来方向が分かるが、分析機器を使ったより詳細な材料輸送機構の研究が必要であることが示された。この結果を受け、25年度は方向性だけでなく他の分析も可能であるように形状を工夫したDMPを設置した。現在これらを真空容器から取り出し分析を進めている。 今後は本研究の目的を達成するために、QUESTのデータについても分析を進め、異なる装置間での堆積層形成機構比較を行う。また計算機モデリングとDMPデータの比較により輸送機構の解明を行うことが重要となる。 成果発表として、DMP法について学術誌に投稿して掲載された。LHD再堆積層研究について欧州物理学会でポスター発表した。また今年5月のプラズマ・表面相互作用に関する国際会議で、25年度のDMPデータの一部をポスター発表する。
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